よくわかる!間接法のキャッシュフロー計算書とは | よくわかる!キャッシュフロー計算

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疑問

どう読む?間接法のキャッシュフロー計算書

間接法のキャッシュフロー計算書は、キャッシュフロー計算書を見慣れていない人には、読みにくいようです。

・税引前当期純利益からスタートして、次に減価償却費が表示されること。
・損益計算書の項目と貸借対照表上の項目が混在していること。
 (売上債権、棚卸資産、仕入債務など)

などから、どのようなルールで作成しているのかが理解しにくいのでしょう。

まずは、キャッシュフロー計算書のサンプルを見てみましょう。変化をつかみやすいように二期分を並べて表示しています。

キャッシュフロー計算書サンプル(単位:千円)

2016年12月期 2017年12月期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー
  税引前当期純利益 13,537 4,458
  減価償却費 2,187 1,570
  繰延資産償却 120 120
  受取利息及び受取配当金 △ 11 △ 12
  支払利息及び手形売却損 854 713
  売上債権の増減 △ 20,702 13,640
  棚卸資産の増減 △ 953 △ 600
  仕入債務の増減 7,410 △ 4,931
  前受金の増減 656 △ 793
  その他流動資産の増減 △ 118 △ 378
  その他流動負債の増減 1,945 △ 3,772
  小計 4,926 10,015
  利息及び配当金の受取額 11 12
  利息の支払額 △ 854 △ 713
  法人税等の支払額 △ 4,196 △ 1,420
  営業活動によるキャッシュフロー △ 112 7,894
Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー
  有形固定資産の増減 △ 815 △ 550
  無形固定資産の増減 △ 1,500 △ 58
  短期貸付金の増減 △ 346 0
  保険料支出 △ 1,200 △ 1,200
  保険積立金の増減 △ 500 0
  長期前払費用の増減 △ 260 △ 1,130
  長期未払金の増減 △ 886 △ 1,045
  投資活動によるキャッシュフロー △ 5,507 △ 3,983
Ⅲ 財務活動によるキャッシュフロー
  短期借入金の増減 △ 1,010 3,010
  長期借入金の増減 1,648 △ 1,992
  財務活動によるキャッシュフロー 638 1,018
Ⅳ 現金及び現金同等物の増減額 △ 4,981 4,928
Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 33,569 28,588
Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 28,588 33,516

いかがでしたか。どんな点に気がつきましたか。

1.まずは税引前当期純利益と現金及び現金同等物の増減額の差異に着目する

2016年12月期を前期、2017年12月期を当期とします。まずは、以下の2点に着目してください。

・最初の行の「税引前当期純利益」が、前期 13百万円、当期 4百万円。
・下から3行目の「現金及び現金同等物の増減額」は、前期 △ 4百万円、当期 4百万円。

当期は前期よりも利益が低下したのに、当期の方がキャッシュは増えています。その理由を説明する書類がキャッシュフロー計算書です。

キャッシュフロー計算書では、キャッシュの増減の要因を大きく3つに分けて表示しています。

・営業キャッシュフロー:主に本業でのキャッシュの増減
・投資キャッシュフロー:設備投資や投資有価証券の売買、貸付等でのキャッシュの増減
・財務キャッシュフロー:借入など資金調達でのキャッシュの増減

営業キャッシュフローを「本業でのキャッシュの増減」ではなく、「主に本業でのキャッシュの増減」としたのは、営業キャッシュフローには、3つの区分のどれにも分類しにくいようなものも含まれるためです。

投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー以外が営業キャッシュフローになります。

2.次に3つの区分でキャッシュの増減の要因をざっくりと掴む

そこまでわかった上で、もう一度、先ほどのキャッシュフロー計算書を見てみましょう。着目してほしいポイントだけ抜粋すると下表になります。

2016年12月期 2017年12月期
税引前当期純利益 13,537 4,458
Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー △ 112 7,894
Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー △ 5,507 △ 3,983
Ⅲ 財務活動によるキャッシュフロー 638 1,018
Ⅳ 現金及び現金同等物の増減額 △ 4,981 4,928

前期、当期とも設備投資などをしており、投資キャッシュフローがマイナスになっています。将来に向けて投資をすると、投資キャッシュフローはマイナスになりますので、これは特に問題ではありません。

(ただし、内訳を見ると「保険料支出」などが計上されています。保険料支出は将来のキャッシュを生む投資ではありません。支出の内容については精査する必要があります)

財務キャッシュフローは、前期、今期ともに大きな金額ではありませんが、プラスです。借入など資金調達をすると財務キャッシュフローはプラスになりますので、これも大きな問題ではなさそうです。

最後に営業キャッシュフローを見ます。前期は、税引前当期純利益が 13百万円であるのに、営業キャッシュフローがマイナスです。前期のキャッシュフローがマイナスだった要因は、どうやら営業キャッシュフローにあると言えそうです。

(今期は逆に、税引前当期純利益が 4百万円、営業キャッシュフローが7百万円。キャッシュフローが増加しています)

3.営業キャッシュフローの内訳のうち大きな金額の項目を確認する

では、改めて、営業キャッシュフローの内訳を確認してみましょう。

2016年12月期 2017年12月期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー
  税引前当期純利益 13,537 4,458
  減価償却費 2,187 1,570
  繰延資産償却 120 120
  受取利息及び受取配当金 △ 11 △ 12
  支払利息及び手形売却損 854 713
  売上債権の増減 △ 20,702 13,640
  棚卸資産の増減 △ 953 △ 600
  仕入債務の増減 7,410 △ 4,931
  前受金の増減 656 △ 793
  その他流動資産の増減 △ 118 △ 378
  その他流動負債の増減 1,945 △ 3,772
  小計 4,926 10,015
  利息及び配当金の受取額 11 12
  利息の支払額 △ 854 △ 713
  法人税等の支払額 △ 4,196 △ 1,420
  営業活動によるキャッシュフロー △ 112 7,894

いかがでしたか。売上債権の増減が前期は、△ 20百万円と大きくマイナスであることに気づいたでしょうか。(今期は13百万円のプラス)

前期は、売上債権の回収が進まず、売上債権額が増加したことがキャッシュの大幅な減少要因だったのです。

売上債権額の増加の理由としては、売上増加に伴う増加や、無理な販売による悪い取引条件での販売、回収不能な不良債権の存在などが考えられます。

売上債権以外にもキャッシュフローに影響を与える項目があります。棚卸資産や仕入債務などです。貸借対照表上のすべての項目がキャッシュフローの増減要因です。

だから、キャッシュフロー計算書に、貸借対照表の項目が記載されているのです。

間接法のキャッシュフロー計算書の読み方まとめ

間接法のキャッシュフロー計算書の読む方をまとめると以下になります。

1.まずは税引前当期純利益と現金及び現金同等物の増減額の差異に着目する
2.次に3つの区分でキャッシュの増減の要因をざっくりと掴む
3.営業キャッシュフローの内訳のうち大きな金額の項目を確認する

間接法のキャッシュフロー計算書は、利益とキャッシュフローの乖離を説明する形式なのです。

項目の中から、大きな金額の項目を確認することで、キャッシュの増減の大きな要因を掴むことが、間接法のキャッシュフロー計算書を読むコツです。

※上記のサンプルキャッシュフロー計算書のExcelファイルが以下からダウンロードできます。

キャッシュフロー計算書のセルには、損益計算書・貸借対照表を参照した計算式を入力していますので、損益計算書・貸借対照表の数字とのつながりが理解しやすくなっています。

サンプルのダウンロードはこちらから → キャッシュフロー計算書サンプル.xlsx