よくわかる!銀行借入の種類とは。短期継続融資とは。 | よくわかる!キャッシュフロー計算

よくわかる!銀行借入の種類とは。短期継続融資とは。

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よくわかる!銀行借入の種類とは。短期継続融資とは。

お金

融資の申込時には、銀行が用意した書類に署名をすることになります。

その時の書類が「約束手形」の場合もあれば、「金銭消費貸借契約書」の場合もあります。同じ額を借りるのに収入印紙の金額も違うようです。

なぜ、同じ銀行融資でもいろいろな種類があるのでしょうか。

借入の種類の考え方と、ふだんよく耳にする「手形貸付」、「当座貸越」、「手形割引」、「証書貸付」について説明します。

また最近、注目が高まっている短期継続融資についても説明します。

1.なぜ借入に種類があるのか

まず、企業活動の根本から考えてみましょう。

企業活動は、集めたお金で資産をつくり、資産を活用して得た利益でまた資産を積み上げて、さらに利益を得ることのくり返しで成り立っています。

言い換えると、出資者である株主の出資金と、銀行などの外部から調達したお金で、資産に投資し、利益を得ていることになります。

つまり、借入の目的は、利益を出して現金を手にすることです。そして、利益を出す手段には大きく2つの方法があります。

1つは仕入れた商品や、仕入れた材料を元に製造した製品を販売することです。もう1つは仕事をするための設備などを購入して、その設備を使って企業活動を行うことです。

商品や材料と、設備はどちらも企業にとって資産ですが、商品や材料と設備では資産としての性質が異なります。

商品や材料は、仕入れて製造して販売し、その販売代金でまた仕入するという通常の事業サイクルの中にある資産です。このサイクルのことを営業循環といい、営業循環のサイクル内にある資産のことを流動資産と言います。

在庫

設備は、こうした事業サイクルの中にはありません。購入した設備は一定期間、使い続けることを前提としています。こうした資産のことを固定資産と言います。

営業循環基準以外には「ワンイヤールール」という基準もあり、1年以内に現金化される資産を「流動資産」、1年を超えて保有する資産を「固定資産」と呼んでいます。

つまり、流動資産は短期的な資産、固定資産は長期的な資産です。この短期と長期の区別が銀行でお金を借りる時に重要な基準となります。

借入金は、いつかは返さなくてはなりません。返済については、経営者によって、いろんな考え方があるでしょう。

「金利がかかるので、資金繰りに余裕ができたら、すぐ返したい」経営者もいるでしょうし、「なかなか売上があがらないので長い時間をかけてゆっくり返したい」経営者もいるでしょう。

では、返済は経営者の考え方だけで決めて問題ないのでしょうか。基準はないのでしょうか。

この返済期限の基準となるのが、短期と長期の区別です。

企業は借入して資産に投資し、利益を出すことで現金を手にします。この投資効果が出る時期が原則として、返済期限となります。

流動資産に投資する場合、投資した流動資産はおおむね1年以内に利益に代わります。一方、固定資産は保有して使用する前提ですので、1年では投資をすべて回収することはできないでしょう。

したがって、銀行で借入するときに、流動資産を調達するための借入の場合は、「短期融資」、固定資産を調達するための借入の場合は「長期融資」という区別となります。

具体的には仕入資金や、建設業などで工事代金が入ってくるまでの運転資金は「短期資金」です。工場の建物や機械のための設備資金などは「長期資金」です。

借入の種類は、その資金で購入する資産が何であるかと、購入した資産が利益に代わるまでの期間(投資を回収するまでの期間)で決まるのです。

2.借入の種類

銀行の借入では、短期と長期という区別があることがわかりました。

短期資金には、「手形貸付」、「当座貸越」、「手形割引」の3種類があります。長期資金としては、「証書貸付」があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

(1)手形貸付とは

建築業などでよく使われている方法です。

建築工事などでは、数か月かけて、工事が完成してようやく代金を回収できることになります。代金を回収する前に通常は、資材や人件費の支払いが発生します。

建設現場

そこで、予め返済期日を決めておいて、会社で手形を振出ししたものを担保にして、銀行がお金を貸出するのが「手形貸付」です。手形とは決められた日までに必ず全額を支払うという証文です。

「この工事の代金で返済する」というように、返済のお金と期日が明確なことから、手形貸付は「つなぎ融資」や「ひも付き融資」といった言い方をすることもあります。

長所としては期日まで返済が要らない点、工事ごとに借入するため返済の管理がしやすい点、印紙税が安い点などが挙げられます。

短所は、工事のお金が入ってきたら必ず返済しなければならない点です。そのため、工事が遅れた場合には、期日を延長してもらう必要があります。

(2)当座貸越とは

商社やメーカーなど、常時一定の売掛金や在庫を抱えているような会社に使われる方法です。

商社やメーカーは数多くの品物を仕入して販売します。この仕入してから売れるまでの期間のことを「立替期間」と言います。

この立替期間の間は、会社には何もお金が入りません。取扱商品が一種類であるなら、在庫管理もしやすいですが、ほとんどの会社において、取扱商品は多岐にわたります。

日用品などのすぐに売れるものから、高級品など売れるまでにある程度の期間を要するものなど多種類の商品を扱っているケースが多いです。そうなると、常に一定額の立替金が必要ということになります。

「当座貸越」とは年間の平均的な立替期間から計算された運転資金の範囲で借入枠を作ることです。枠の中なら、自由に借入と返済ができます。

金融機関によっては、キャッシュカードにして、ATMで借入と返済ができるものもあるようです。

同じように短期資金である「手形貸付」との違いは、「当座貸越」は立替期間が経常的に発生する場合に利用されるということです。

「手形貸付」のように「このお金で返済する」という厳格な決まりがなく、機動的に借入できることが大きな特徴です。

デメリットとしては、こまめな資金管理が必要になることが挙げられます。杜撰な資金管理ではずっと借りたままとなってしまい、いざ必要な時に借入枠を使い切っており、利用できなくなるケースが考えられます。

また金融機関の立場からすると、返済する明確な売上が把握できないため、「手形貸付」より「当座貸越」の方が一般的に金利は高くなります。

(3)手形割引とは

「手形割引」は、他の3種類の借入とは少し性質が異なります。「手形割引」とは、手形で受け取った売上代金を早期に現金化することです。

取引先の規模が大きい場合、「支払は手形」となるケースが多いようです。せっかく代金を受領しても、手形の場合は、現金化するには期日まで待つ必要があります。現金化されるまでは、通常は支払に使えませんし、お給料も払えません。

そこで、その手形を銀行に持っていき、裏書することで、手形を担保に現金化することを「手形割引」といっています。「割引」とは利息のことです。

通常は、担保といえば90%や80%など掛け目があるのですが、「手形割引」の場合は、手形額面すべてが現金される点にメリットがあります。

ただし、デメリットもあります。万が一、手形の振出人が期日に支払なかった場合、その手形を買い戻す必要があることです。

つまり、裏書人として手形に責任を負うことから、割引を受けた全額を銀行に返済しなければならないのです。したがって、手形を振出している企業の信用状態には常に目を光らせておかなければなりません。

「半金半手」といって、現金と手形と合わせて支払っていた企業が、もし「手形支払を増やしてほしい」と言ってきた場合は、支払いの先延ばしであり要注意です。

(4)証書貸付とは

「証書貸付」は、4種類の借入の中で一番、よく利用されている借入の方法と言っていいでしょう。

「証書貸付」は、一般的に1年を超える貸付となります。固定資産の調達など、通常の営業活動以外で融資が必要となる場合に、業種の区別なく利用されています。

「借用書(金銭消費貸借契約書)」によって、銀行と貸出契約を結ぶことになります。

3.借入の種類を間違えるとどうなるのか

ここまでで、借入種類の説明をしました。借入時の留意点としては、まずは長期と短期の区別を明確にするということです。

資金目的に関わらず、「長期なら返済が楽だから」という理由で、できるだけ長期資金で調達した方が資金繰りが安定すると考える人もいます。

しかし、会社が借入するのは、あくまでも利益を出すためです。利益が出たときに返済するという考え方が基本です。そうしないと、いつまでも借入が残ってしまいます。

定期的に資金ショートが起こる業種、たとえば、冬場の灯油需要に備えて、仕入をするガソリンスタンドが1年を超える長期の返済期間で借入をしたら、どうなるでしょうか。

ガソリンスタンド

きっちりと資金管理ができる人であれば問題ないのかもしれませんが、多くの人は資金に余力があると、ついつい使ってしまいがちです。

そうこうするうちに、2年、3年と同じような借入をくり返すことになるでしょう。そのうちに返済の口数が増えてきます。しかも返済は季節に関係なく、毎月です。

こうした借入では、利益があるうちに返済をせず先送りにしているだけなので、結果的にかえって資金繰りが厳しくなるのです。

資金繰り表を活用するなど、しっかり資金管理をすれば、資金繰りは回っていきます。

長期の借入の場合は逆に、あまり短い返済期間にするのではなく、しっかり利益が出てくる投資計画に合わせて返済期間を決定することが必要です。

機械の投資効果は一度には現れません。一般的には「返済期間=耐用年数」とすることが望ましいです。

つまり、借入残高の減り方と、設備の減価償却の進み方が同じになる返済期間にするのです。

借入の種類を間違えると、短期の場合も長期の場合も、資金繰りに支障が出るので、注意が必要です。

4.短期継続融資とは

前項で、借入においては、利益が出たときに返済するという考え方が基本と書きました。

一方で、商社やメーカーなど、常時一定の売掛金や在庫を抱えているような会社では、常に一定額の立替資金が必要となります。当座貸越の項で説明した通りです。

こうしたケースでは、利益が出たときにすぐに返済していたのでは、次の仕入資金に困ることになってしまいます。このような場合の借入種類としては、当座貸越以外に方法はないのでしょうか。

実はもう一つあります。手形貸付で、返済期限が来たときに再度、手形貸付で借りるという方法です。

再度、借りて、次に返済期限が来たときもまた同じ状況です。つまり返済すると次の仕入資金に困る状況です。ですので、この場合、返済期限は来るものの、継続して借り続ける状態となります。

これを短期転がし、略して「短コロ」と言います。手形貸付の書換を継続する借入方法です。元金の返済がなく利息の支払いだけで済むため、企業にとって大きなメリットがあります。

返済の必要がないという面においては、資本に近い状態と言えます。(疑似資本という言い方をします)

では、果たして、そんなことが実際にできるのか?という所ですが、実はかつては普通に行われていた借入方法だったようです。

金融機関の貸し出しの不良債権化を懸念する金融庁による指導によって、手形貸付の継続が行われなくなり、証書貸付に移行していったのです。(継続されていた手形貸付の書換を一方的に中止することを「貸しはがし」と言います)

これについては、金融庁サイトに説明の文章があるので、以下に引用します。

“金融庁では、平成14年に、書替えが継続している手形貸付等(「短期継続融資」)について、正常運転資金を超える部分は不良債権に当たるかどうかの検証が必要、との考え方を金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕(事例19)でお示ししました。

これを受け、一部の金融機関においては、正常運転資金の範囲内での融資であっても、「短期継続融資」による対応を差し控え、長期融資(多くは担保・保証付)で対応する動きも見られてきたところです。”

企業が存続する限り、営業上、常に必要となる立替資金のことを経常運転資金(または正常運転資金)と言います。以下の計算式で計算できます。

経常運転資金(正常運転資金)=売上債権++棚卸資産-仕入債務

こうした経常運転資金のための借入が証書貸付に移行し、約定弁済が求められるようになると、企業は資金繰りに苦しむことになります。

また、短期融資で「貸しはがし」された企業は、長期融資を志向するようになります。こうして、資金使途に関わらず証書貸付による借入が一般化していったのです。

これについて、金融庁では、2015年に以下のように指針を明確化しています。

“こうした経緯を踏まえ、今般、金融庁では、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕に新たな事例(事例20)を追加し、以下の趣旨を明確化することといたしました。

1.正常運転資金に対して、「短期継続融資」で対応することは何ら問題ない。

2.「短期継続融資」は、無担保、無保証の短期融資で債務者の資金ニーズに応需し、書替え時には、債務者の業況や実態を適切に把握してその継続の是非を判断するため、金融機関が目利き力を発揮するための融資の一手法となり得る。

3.正常運転資金は一般的に、卸・小売業、製造業の場合、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」とされているが、業種や事業によって様々であり、また、ある一時点のバランスシートの状況だけでなく、期中に発生した資金需要等のフロー面や事業の状況を考慮することも重要である。

本日付で別紙のとおり新たな事例を金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕に追加し、各財務(支)局及び沖縄総合事務局へ発出いたしました。
平成27年1月20日 金融庁”

金融庁がこうした方針に転換したことで、今後は短期継続融資(短コロ)も一般化するかもしれません。

借入種類についての基本的な考え方は、資金使途と返済財源や借入期間が合致しており、無理なく返済できるようにすることだと言えるでしょう。

※金融庁サイト
https://www.fsa.go.jp/news/26/ginkou/20150120-1.html

※借入金については以下の記事もご参照ください。