38歳の女性です。営業一年目のときのお話をします。当時、私はエクステリア業界で営業に携わっていました。
その会社では、月に一度、全体会議を開催していました。議題ごとに時間が分けられており、会議は約半日かけて行われていました。会議目的は、営業結果や問題点と改善策の確認、前月今月の課題と反省、モチベーションアップとそれぞれの支店のコミュニケーションでした。
全体会議で、私が意見を述べる場面はありませんでしたが、部門別に分かれての会議になった時には、人の問題点に対しても解決案をいっしょに考え、アドバイスしたり、自分の意見を話すことが求められました。
会議では、司会進行役がテーマに沿って進めていくのですが、その場の雰囲気はシーンとして、いつも冷たい空気が流れていました。会議室が広かったので、相手までの距離が遠すぎて、顔の表情もよく見えませんでした。声だけは聞こえるにしても、相互コミュニケーションというよりも、お互いに一方的な意見表明という印象でした。
その会社では、うまくいったことに対しては全員で拍手する習慣がありました。その一方で、うまくいかなかったことに対しては、周りから責められるような雰囲気もありました。
特に、数字で結果が出せなかった時は、緊張して、その場にそれ以上いたくないという気持ちになりました。その時間は、私にとって本当に苦痛以外の何物でもありませんでした。当時は、数字を他人との比較競争に捉えてしまっていました。
数字の結果や改善について、働く社員のモチベーションにつながるように個別に対応するような会議ではなかったので、人数が多い分、難しい面があったのだろうなと思います。
また、自分の意見をあらかじめ用意できるわけではなく、その場で臨機応変な返答や意見が求められる点も辛かったです。自分の考えを言わなければ理解してもらえないと思い、勇気をもって、正直に話をするように努めていましたが、一生懸命話しても何を言っているのか、自分でも意味がよく意味がわからないような返事になってしまうこともありました。そんなときは、経験豊富な方々を前にして「恥ずかしい」と思ったものです。
この会議に出席するうちに、会議が成果を出すかどうかは、会議進行を担当する人たちがしっかりと目的や落としどころを確認しているかどうかによると思うようになりました。しっかりと着地点を意識していれば、毎月の長時間にわたる会議も無駄にはならず、毎月恒例という雰囲気にもならないと思ったのです。
何をどう持っていくように話を進めるのか。誰にどの部分を任せてモチベーションを上げていくかなど、大人数の会議であっても、一人一人の個人の状態を把握し、座る席や空間の環境設定なども考えることが大切と思います。また、会議内容は事前に知らせてもらっていた方がよいと思います。
考えていなかったことについて、突発的に当てられると緊張したり、頭が真っ白になったりもします。十分な意見が言えないのは、その人に十分な時間を与えていないことが原因だったりします。一人一人の出席者がしっかり意見を言えるようにするには、雰囲気も大事です。日頃のコミュニケーションも大切です。日頃の職場の雰囲気や社員の意識が会議の場に現れると思います。
また、長い会議は人のモチベーションを下げます。内容が有意義でない場合、会議時間が長くなればなるほど、受け身で参加することになるからです。受け身ほど面白くない会議はありません。出席者が積極的に入っていけるような議題にしたり、参加する人からのフィードバックを受けて、司会進行を進めるように工夫する必要があると思います。
残念な思い出ばかり書きましたが、その会社に関して、とても良い思い出もあります。それはときどき、社員みんなで、庭でランチする機会があったことです。ふだんは支店内でのランチでしたが、エクステリアが美しく配置された、デザインされた庭でランチできる日があったのです。最高の気分でした。そんな日は、大勢の仲間に囲まれていることを心地よく感じたものです。
実はその会社は、人間関係の向上のために、意見を話す場をゲームとして取り入れている会社でした。
そんな場では、私は感じたことや思ったことを上司にでも役職者にでも素直に話すことができました。
話を聞いてどうするのかは、相手に決定権があったのですが、私の話すことの中には、相手が気づいていないこともあると思って、一生懸命話をしていたことをよく覚えています。
会議を堅苦しいものとせず、コミュニケーションできる機会とすることができれば、出席者のモチベーションアップにつながる会議にできるのではないでしょうか。