大手保険会社の人事部門で職場の雰囲気が一変した理由とは

仕事に役立つヒントが見つかる!会社員の体験談

大手保険会社の人事部門で職場の雰囲気が一変した理由とは

ビルディング

もともと良い雰囲気の職場だった

40歳男性です。全国規模の大手保険会社に勤めています。私は、以前、労務管理・人事部門の課長として、課の統括業務を行っていました。

その課は、雰囲気もよく、困ったことがあれば誰にでも相談できる体制の組織でした。私自身がこのような体制作りを心がけており、部下たちもそれを察知して、その方向をみんなで向いて仕事をしてくれていたので、とても感謝していました。

ところが、ある出来事から課内の雰囲気は一変します。

そこへ定年退職したAさんが配属されてきた

定年を迎えて退職した人間(以下、Aさんとします)が、私の課に配属となる旨の人事異動が発表されたのです。私は、以前からその人にお世話になり、よく知っている人だったのですが、他の部下たちは戦々恐々としています。

なぜかというと、Aさんは少々荒っぽく、言葉が鋭い(ツッコミがきついとでも言いましょうか)ところがあることで、社内でも有名だったのです。

つき合い始めて心を開くと、これほど頼りになる人間はいないし、発言する言葉も荒々しいが、1つ1つの言葉に重みがあるという、憧れてしまうような人物なのですが、うわさ話程度でしか知らない人には「怖い人」と映ってしまうのかもしれません。

人事異動が行われ、Aさんがやってきましたが、予想通りの結果となりました。部下たちは、過剰なくらいに気を使い、いつもビクビクしながら仕事をしています。思い切りの良さもなくなり、課の活気が薄れてしまいました。

この状態はまずいと考え、何とか以前のような協力体制が組めるように考えました。ここで、Aさんを仕事上で隔離してしまう、または異動させてしまうということは、役職上すぐにでもできるのですが、Aさんの本来の人物像を考えると、そうすることの損失の方が大きいと思いました。

また、部下たちの今後においても、今回のように「自分の部下として、年上の人が配属される」場面が多々起きるということを考えると、そうしない方がいいと思いました。

職場の雰囲気をまた良くするために考えた

そこで、私はAさんに相談し、対策を練りました。Aさんも場の雰囲気を快く思っていなかったようで、さまざまな案を考えてくれました。

課長が一番偉いのだから、威厳を見せるために、Aさんをわざと強めに注意するとか、Aさんが積極的に部下に声をかけていく、などという手法を考えました。

対策を考えているうちに、これだと思って採用した案は、私とAさんが仲の良いことを見せつけるというものでした。

部下たちはもともとコミュニケーションがうまく取れる人ばかりです。私とAさんが仲良く、バカ話でもしているときに、みんなが話に乗ってきたり、「クスッ」とでも笑えば、そこから話を振りやすくなる。

そうでなくても、二人がフランクに話しているところを見せることで、彼らのAさんに対する壁を取り除きやすくしようと思ったのです。

さっそく実践すると、部下たちは面白いように食いついてきます。Aさんと部下だけでは話がしにくかったのでしょう。私というクッション材を挟むことにより、間接的にAさんと話すようになりました。

一回壁が壊れてしまえば、あとはもともとのコミュニケーション力の高さが活きてきます。一人二人と輪が広がり、いつの間にか、部下たちが冗談を言って、Aさんをからかうほどになりました。

職場の人間関係を良くするために

職場内の人間関係は、働く人にとって大きな課題です。

ストレスチェックの中でも、この項目がうつ病発生のトップ原因に入ってきます。そして、この人間関係がよくなければ、チームとして機能することはなく、組織の繁栄も望めません。

人間関係は些細な出来事で良くもなり、悪くもなります。ということは、悪くなった人間関係も些細なことで改善するということです。

残念ながら、悪い人間関係になってしまった時には、一度立ち止まり対策を考えてみることが重要です。