私は26歳、独身の男性です。今、勤めている会社には新卒で入社しました。数万人の社員を抱え、運輸業を営む、世間一般に知られた企業です。
最初の数年間は、首都圏内で2部署を経験し、4年目の今年、地方転勤となりました。
いわゆる総合職採用の一般社員です。現在は営業部門に所属しています。
ふだんは自社サービスの利用促進のため、法人企業さま、自治体さまを中心にご提案を実施しています。
1.社員のあるべき姿、行動指針、理念策定の経緯
勤め先の会社は、数年ごとに全国各地へ転勤があります。そのため、環境の変化をプラスに捉えることのできる前向きな方が多く、職場の雰囲気は非常に明るいです。
また、多様性尊重の時代らしく、社員の出身や国籍が多岐にわたります。
そうしたことも影響しているのか、相互理解を大切にする社風です。職場の風通しもよく、人間関係も非常に良好です。
一方で、他企業に比べて上司と部下の上下関係が緩い、という点は少し課題かもしれません。
また、以前は、会社に一体感がなかったと聞いています。さらには、お客さまを大切にする姿勢や、会社の社会的役割を考えない雰囲気が蔓延していたとも聞いています。
つまり、大企業によくありがちな、自分の仕事のみをしていればいい、という縦割り的考えが根づいていたようです。
そのような状況の中、それまではなかった、社員のあるべき姿、行動指針、理念が定められました。私が入社してすぐのことでした。
2.理念浸透の取り組み内容
策定された理念は、社員一人ひとりのあるべき姿を記した数十の項目による行動指針などから構成される内容でした。
この理念が定められた後に、全社的に研修など理念浸透の取り組みが始まりました。
具体的には、行動指針、理念が社内に掲示されるようになりました。
また、年に数回、部門や年齢の異なる社員による、会社の理念の勉強会が実施されました。内容は、どうしたら理念を実現できるかのグループワークなどです。
営業目標などの内容ではなく、理念がテーマの勉強会は、社員にとって馴染みがなく、当初は、研修を小馬鹿にしていたような方もいたように記憶しています。
理念の勉強会が数年ほど続いている今は、理念も社内に浸透し、研修にも前向きに参加する方が多くなっています。
3.理念浸透の最も重要なポイント
理念の浸透に効果的であったと思うことの一つは、職場での掲示や研修などの取り組みを継続していることです。
ただ、最も重要なポイントは、理念自体が誰でも理解しやすい内容であるいう点が一番、大きいと考えています。
会社の職務内容や目標は、部署によってまったく異なります。
そのため、理念が特定の部署や特定の職種に特化したような細かい内容であると、理念を自分ゴトとして捉えることのできない社員が多くなってしまいます。
実際に会社が定めた理念は、
・お客さま第一
・感謝の心を忘れない
・明るく前向きに
などといったわかりやすく普遍的な内容でした。
こうしたことを「人として当たり前のこと」だと認識することは誰でも容易にできることでしょう。
一方で、それを日々、自分自身が実践していくことは容易なことではありません。その結果、職場の雰囲気も殺伐となりがちです。
そのような当時の社内風土を考え、会社は「人として当たり前の普遍的な内容」を理念として策定したのではないかと考えています。
実際に、シンプルでわかりやすい理念であったことは、社員にとっての理解のしやすさや、早い段階での浸透につながった実感があります。
シンプルでわかりやすい理念が浸透しやすい理由はもう一つあります。
それは、職場だけではなく、プライベートでも実践できるという点です。
日々のプライベートな場面にも落とし込みながら理念を実践できる内容であったことが、理念浸透に非常に効果的であったと思います。
入社同期メンバーで集まったときに、理念が話題に出ることもあります。楽しく理念を自分の行動で実践できている感覚があります。
4.理念浸透の成果
会社の理念というと、業務的でどこか押しつけられているという感覚になりがちです。
一方で、考え方によっては、理念の実践を、自分自身が人として成長する機会にすることもできます。
また、理念の実践を通じて、社内のコミュニケーションが活性化し、それが仕事にプラスの影響を与えてくれることもあります。
そのため、会社の理念を馬鹿にすることは論外として、理念をまじめに実践することの気恥ずかしさなどを感じる必要はなく、堂々と実践し続けることが重要だと考えています。
また、せっかく理念を学ぶのであれば、仕事だけではなく、プライベートでも楽しく実践したいものです。
職場において、またプライベートにおいても理念を実践することで、人としてさらに成長し、自分自身の人生を豊かにできればと思っています。