サラリーマンとして過ごしていると、事あるごとに”生産性”や”品質”と言われることが多いものです。現在、私は25歳(男)でIT企業に勤めています。4年目なのでまだ平社員ですが、プロジェクトの見積もりや工程管理も行っています。
プロジェクトによっては部下がいる時期もありました。ソフトウェア開発業務のため、納期や品質に厳しく、作業の早さと正確さを強く求められます。
そんな作業環境の中で、バリバリ働き続けることは容易ではありません。モチベーションが高く維持できなければ、要求されているものは達成できないのです。以下に私が体験した部下のモチベーション、上司のモチベーションについてお話ししていきます。
1.部下のモチベーションアップ
あるプロジェクトに携わっていたとき、必死で作業してくれる部下がいました。ほぼ毎日終電帰り、休日もギリギリ週に一日あるかないか程度の状態でした。
もともとはモチベーションの高い人でしたが、なかなか終わらない作業や帰れない状態が続いたことから、モチベーションが維持できなくなった様子でした。成果物もミスが目立つようになり、やり直しが増え、また作業が増える。そんな悪循環の日々でした。
作業状態のヒアリングをしても「がんばります」、「やれます」しか言わないのです。こちらとしてもスケジュールは限界まで融通を利かせていたので、ふんばってもらうしかない状態でした。
そんな状況を打開すべく、気分転換を図るために一日だけ、自分も泥沼に浸かる覚悟で定時で切り上げ、呑みに誘いました。はじめは立場の違いからか固い空気でしたが、徐々に愚痴が増え、最後には現状を嘆き、涙を流していました。
うまく管理してあげられない自分が一番悪いと申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
翌日から、また作業に終われる日々が続きましたが、部下の作業にミスがなくなり、効率も上がっていっていました。次第に帰る時間も早くなり、プロジェクト全体としても安定しました。
なにか転機があったのか部下に聞いてみたところ、
呑みに誘われたこと、その場で思っていたことを吐き出せたこと、それで割り切れるようになり、無心で作業に取り組めるようになった
と言うのです。
年齢も部下の方が上だったため、私の方は正直なところ、あまり気にしていませんでしたが、部下からすると、上の立場というだけで年齢に関係なく萎縮してしまっていたのだそうです。
どんな関係であれ、コミュニケーションをとること、相手のことを知ることはモチベーションの維持、向上につながるんだなと学んだ経験でした。
2.上司のモチベーションアップ
入社当初から、あの人の下には配属されたくないなと思う上司がいました。なぜなら、仕事はテキトー、挨拶もろくにできない、すぐ怒鳴る、責任は他人に押しつける、言わば最悪の上司だったからです。しかし、不運なことにその上司の下に配属されてしまいました。
案の定、仕事がテキトーなので私が指摘する、すると怒鳴り散らしてくるのです。そして、上司が作った会議資料が指摘の山でお客さんから怒られた際には、ひたすら私のせいにして「もっと勉強させますので」と言う始末。
何度も怒鳴り合いの攻防をしましたが、これでは意味がないと思い、相手を認めることにしました。何かのセミナーで教わった、相手の良いところを無理やりでもいいから誉めるという技法です。特に、「○○助かりましたよ~」や「○○参考になります」という言い方が効果的とのことでした。
その技法を思い出し、上司が作った資料を見て、
「こういう資料の見せ方もあるんですね。
人の資料ってなかなか見る機会がないので参考になります!」
と言ってみました。すると上司は気をよくしたのか、資料の作り方を教えてくれました。
そういったことをくり返していくうちに、自然と挨拶を交わすようになりました。上司の仕事に対する姿勢も変わりました。私が思うに、その上司は私に褒められていくうちに、もっといいところを見せようと、カッコつけようとしたのではないでしょうか。
私が誉めたことが、結果的に上司のモチベーションを高め、良いサイクルを生むきっかけになったようです。人との関わりという点で、今後に生かせる出来事だったと思っています。
3.経験からモチベーションアップについて思うこと
今回は経験ベースで書いたため、部下・上司と分けてしまいましたが、上下に関係なく、周囲の人のモチベーションを上げるためには、
・コミュニケーションをよくとる。
・現状に対する考えを聞き、相手を理解するよう心がける。
・相手を認める。
・否定せず、相手の良いところに目をつけ、伝える。
これらが大切だと私は思います。少しでもモチベーションに関して悩んでいる方の助けになれば幸いです。