会議とはコンフリクトを解消するための調整の場

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会議とはコンフリクトを解消するための調整の場

コンフリクト

若い代表取締役が就任。初めて会議が開催されることになった

従業員数30人の不動産会社で正社員として働いています。営業部で主任職として勤める47歳男性です。ある上場会社からこの会社に転職して5年目を迎えます。

創業者の体調が悪化し、創業者の遠戚の30代の若い代表取締役が就任しての最初の会議で感じたことをお話いたします。

前(創業者)代表取締役は、ワンマン経営で35年近く運営してきたらしく、私が入社して5年間の間、会議というものが全くありませんでした。

かつての昭和の会社のように、休日になると、専務・常務・役員が、創業者の自宅に呼ばれて代表取締役からの指示を受け、業務をおこなう古いタイプの会社でした。

そのような会社で、新代表取締役の就任にあたり、今後の方針について会議を行うことになりました。

役員からは思うことをどんどん発言してほしいとの指示だけがありました。中間管理職の中には、過去のデータをもとに今後の方針について忌憚なき提案をしようと発言の準備をしている人もおりましたが、ほとんどの人は何の会議かわからず戸惑っておりました。

参加メンバーは、代表取締役、専務、常務、業務部取締役部長2名と部下1名ずつ、営業部からは1課課長、2課課長と部下4名ずつです。私は上司の資料作成の準備を手伝ったため、2課の課員として参加することになりました。

出席者数は合計13名で、会社全体の約半数の参加となりました。

肩透かしを食った会議当日

会議当日、代表から「収益が上がればどんどん給料は出すつもりだから、今日は会社をどのようにしたいか、いろいろ意見を言ってほしい」との挨拶があり、和やかな雰囲気で会議が始まりました。

ところが肝心の討議の場では、今後の事業計画や代表自身のビジョン等の説明もありません。給料のベースアップの要望や、週休2日制の話が出ただけで、みんなで弁当を食べて会議終了となりました。

代表が喫煙ルームに行くと何人かがついて行き、まるで異業種懇親会にでも参加しているような錯覚に陥りました。

私の上司がその状況を見て、「事前に作った資料は、今日は出さなくていい」と半ば呆れたように指示を出していたのが印象的でした。

その後の上司の話では、「今回の会議は若社長のお披露目会で、創業者への報告の手前、会議ということになったらしい」とのことでした。「それにしても事前に会議の内容については一言、言ってほしかった」と課長はぼやいておりました。

それ以降、当社では全く会議は開催されておりません。

業績も今までと大きく変わらず、創業時からの役員の方々と管理職の方々で運営され、会社は問題もありません。ただし私自身としては、5~6年後、今の役員の方々や上司の方々が引退した時がとても不安です。

以前に勤めていた上場企業での会議

以前勤めていた上場企業(正社員数約600名の建築業。勤続10年で最終役職は営業部課長職)では、入社7年目以降は、課長職として役員同席の定例会議と事業部内の会議に何度も参加していました。

その会社では、四半期ごとの決算後に、各事業部の集まる定例会議が専務・常務取締役同席のもと開催されていました。定例会議では、事業部ごとに(プロフィットセンターとしての)収支報告をはじめ、必要予算報告が行われ、前四半期の評価・改善と目標の再確認の場として機能しておりました。

また、経営者の交代や中期経営計画の節目では、代表の初心演説が行われ、今後のビジョンと大まかな経営戦略が全社に伝えられた後、事業部ごとの会議がありました。

この会議では、経営トップの企業戦略を受けて、事業部長より事業戦略が伝えられ、事業部としてどのように業務を遂行してゆくかが話し合われました。

また、そのためのP(PLAN・計画)、D(DO・実行)、C(CHECK・評価)、A(ACT・改善)の打ち合わせも週単位で行われ、月初には事業部で、C(CHECK・評価)、A(ACT・改善)のための会議もありました。

株主への報告責任を果たすための株主総会、会社運営の意思決定を行うための取締役会、事業年度ごとの決算会議、四半期ごとの定例会議、各事業部内で行うための事業部内会議と、この会社では、さまざまな会議がありました。

私が、参加していたのは定例会議と事業部内会議でしたが、定例会議では、「今、会社が何をしようとし、どの分野でいつまでに、どこに向かおうとしているのか、そのためには何が足りていて、何が足りないのか」が明確にされ、事業部内会議では会社の目標に対し、「何をどのように実行すべきか」をみんなで検討することで具体的に把握できていました。

そのため、日々の業務への落とし込みや後輩・部下へのアドバイス・指導も非常にスムーズに行えていたと思います。

私が会議を必要と考える理由

今、在籍している会社のように、長年決まった少人数メンバーでの運営の場合には、会議はある意味必要ないようにも思えます。

あえて時間を取って、収支報告や仕事の進め方の取り決めについての話し合いをしなくても、お互いにわかっていて再確認の必要がないように考えられがちです。

ただし、こうしたやり方では経営環境が変化したときには、迅速で柔軟な対応は非常に難しいのではないのでしょうか。今、私の在籍している会社は、典型的な日本的経営の会社だと思います。

かつての高度経済成長期のような拡大のみを狙えばなんとでもなるといった状況では、どんどん作り、どんどん売るといった戦略も可能であった思います。

しかし、今日のような成熟した市場では、緻密な経営戦略やそれに付随する緻密なマーケティングのもと、市場の動向を探りながらいろいろなサービスを展開する必要性があるのではと私は感じます。

そのためには、今の会社の経営環境を経営者・従業員ともに把握することが第一だと感じております。しかし、現状は外回りの現場と内勤者(業務・経営者)との市場認識の乖離が非常に大きいと痛感しております。

結論から言いますと、会議とは各部署の立場の違いからくる、コンフリクトを解消するための調整の場であると感じます。市場環境の変化の激しい今日、市場のニーズの変化に素早く対応することが必要なのは言うまでもありません。

そうした市場変化の情報をいち早くフィードバックできるのは、お客様に直接接する営業・販売員です。そのフィードバックと経営者側の戦略のずれを調整する機能が会議ではないかと思います。

営業と経営者だけでなく、営業と業務、業務と経営者いずれにもコンフリクトは発生するはずです、その調整機能としての会議は、小規模の企業においても必要なことではないでしょうか。