新入社員の入社式の準備を任された
私が36歳のときの話です。女性マネージャーとして働いた後に、退職したにも関わらず、新入社員の入社式の準備を任せていただきました。
会社で初の入社式でした。参加人数は30名程でした。
準備することは多岐にわたるため、大まかに分野を分けて詳細を決めていきました。準備にかかる全般を任されていたので、
「失敗したらどうしよう」
という不安はありました。ただ、迷っている時間はありませんでした。
一週間後に行われる入社式をイメージしながら、まずタイムスケジュールを検討しました。タイムスケジュールに合わせて必要な準備物を洗い出し、上司に報告して、確認を取りながら準備を進めていきました。
看板などは会場に依頼しました。自分でできることについては、自分で準備を進めました。
花屋に勤めた経験があったため、胸につけるリボンは手作りしました。シーン別にBGMを流すことが決まっていたので、入場・辞令交付・退場それぞれの場面別に曲を選曲し、CDを借りたり、YouTubeからダウンロードしたりしました。曲を流す順序も決めました。
すべての準備を終えた段階で上司に確認してもらいました。準備を終えるまで、何度も打ち合わせをしながら進めてきたので、「これで大丈夫」という自信を持つことができました。
入社式当日の失敗
当日は、緊迫した空気が流れる中で、入社式が始まりました。最初は順調に進行していました。ところが、辞令交付のために一人ずつ名前を呼ばれるシーンでCDを流した時です。
緊張したせいか、なんとCDのナンバーを押し間違えてしまったのです。気づいた時すでに遅し。静かで厳かな雰囲気の中で、ドンドコ太鼓の音がリズムよく鳴り響き始め、
「あー、やってしまった!」と冷や汗をかきました。
幸い、一瞬みんなから笑いが出たことで雰囲気が少し和みました。慌ててCDを変えると、ありがたいことに何事もなかったようにまた式が進行していきました。
すべてが終了した時には、私のミスにも関わらず、入社式が完了できたことについて感謝の気持ちでいっぱいになりました。大事な入社式でミスしてしまい、申し訳ないと思って謝りましたが、上司を含め社長からも叱られることはありませんでした。
「忙しい中、準備してくれてありがとう」と感謝の言葉をいただきました。
私の方は逆に、自分が準備に関わった、この式に参加していただいて、「ありがとう」という気持ちになりました。新入社員の入社が本当に喜ばしいことに感じられ、感謝の気持ちで、新入社員の退場を見送りました。
ミスはしてしまいましたが、この時の入社式は私にとって、とても懐かしい、いい思い出となっています。そして、その時の周囲の方々の温かい言葉は私に、失敗を恐れず、何事でもチャレンジしてみようという気持ちを起こさせてくれました。
失敗をふり返って思うこと
失敗は誰にでもあります。新人であってもベテランであっても失敗しないということはありません。失敗が怖くてチャレンジできないのなら、なぜ怖いのかを考えてみてほしいです。
失敗をネガティブに捉えているから怖いのか。
失敗したら誰かに怒られるから怖いのか。
失敗を恐れる原因に自分自身で気づけると、失敗が怖くなくなります。
なぜなら、自分個人の失敗や成功は実は、一番大切なことではないからです。一番大切なことは、仕事の目的や目標が達成されることです。
・この仕事の目的は何なのか?
・何を目標にして、みんなが協力しているのか?
これを意識することが仕事への意欲につながります。その意識を持つことで、誰でも失敗するものだし、できてもできなくてもチャレンジする機会があるなら
「やってみようか」
「ちょっと冒険してみようか」
という気持ちになることができます。そして少しでもそんな気持ちが芽生えたら、もう半分以上は決断できています。
失敗をずっと引きずって、頭の中でぐるぐる考えていると、同じような状況を引き寄せてしまいます。
「誰だって失敗はするのだから、今目の前にあることに集中してみよう。やらなければ分からない」と考える、小さな勇気で状況は変化していきます。
また、一緒に仕事をする仲間と日頃からコミュニケーションを取ることや、自分の気持ちや状況を上司や相談できる人に話すことも大切です。困ったことは、一人で抱え込まないということが解決に繋がります。
日頃からしっかりコミュニケーションを取っていると、信頼関係も芽生えていきます。私の場合は、日頃からのコミュニケーションで、上司を含め周囲の人たちと信頼関係を築くことができていたので、仕事を退職しても単発でこのようなお仕事をいただくことができました。
失敗しないようにだけ考えて動くことは楽しくないと思います。
仕事をチャンスと捉えて、できることプラスやりたいことをやっていこうと考えると、結果的に上手くいくことが多いです。
反省は、落ち込むためにあるのでも、ネガティブになるためにあるものでもありません。仕事のチャンスをいただいたときには、自己成長にも繋がることを経験させてもらえると思えばいいのです。
そう思うことで、自分自身がチャレンジできるだけでなく、他人に対しても寛大な対応ができる人になると思います。