業歴100年以上の保守的な銀行で
私の勤務先は銀行です。企画セクションで20年以上働かせてもらっています。勤め先の銀行は非常に歴史が古くて、業歴は100年以上にもなります。
それだけに社風は保守的で多くの暗黙のルールがあります。ある意味、上手く立ち回らないと非難の対象にもなります。
私の性格はどちらかと言うと革新的、悪く言えば目立ちたがり屋です。銀行に入行した頃はとても苦労しましたね。
ここは合理的ではないのでこう変えたいと思っても簡単ではありません。今のままがベストなのだという空気が流れており、その空気を変えるのは至難の業なのです。
若い頃は、この職場は自分に向いていなのではないかと思い悩むことが多々ありました。自分の能力を過信してた部分もあったと思います。毎日悔しい思いをしていました。
そんな思いのままでの三度目の転勤が今の企画セクションです。
第一印象とは全く違った寡黙で尊敬できる上司
主な業務内容は、コンピュータシステムを構築する上でのシステム設計です。その中で各部署からの要望をまとめる部門に在籍しました。
そこで出会ったのが当時係長をしていた私の尊敬する上司です。
とにかく寡黙で黙々と仕事をこなす先輩でした。
第一印象はつまらない人でしたね。寡黙なので何を考えているのかが窺いしれないのです。しかしです。前から在籍している同僚にはとても慕われているのです。愛されているのです。
それがとても不思議でなりませんでした。表情も言葉遣いもぶっきらぼうですし。第一印象で敬遠されるタイプでしょう。しかし、そんな疑問も直ぐに解消しました。
知識量がとにかく半端ではないのです。何を聞いても的確に答えてくれます。
答える時も短い言葉を発するだけですが、それだけで十分なのです。これだけ少ない言葉で人を納得させられる人は他に見当たりません。
しばらく接するうちに、この人のぶっきらぼうは、人嫌いからくるぶっきらぼうではないことが分かりました。
私が書類とにらめっこして悩んでる時には、これ以上ないだろうと思うほど素晴らしいアドバイスを絶好のタイミングでくれるのです。まるでこちらの心を見通せるかの如くです。
この人は本当に地球人なのかと本気で思ったこともありますね。他の同僚もきっと同じ体験をしたのだと思います。
同じ男として見習いたい男の中の男
男気もあります。上司に対しても間違っていることははっきり主張できます。それを全く嫌味に感じさせません。まさに男の中の男です。
同じ男として見習いたいものです。その上司も今では常務です。なるべくしてなった地位と言えるでしょう。
私は現在55歳でまだ課長です。その上司は59歳でもう少しで定年です。いつかいなくなるとは思っていましたが、本当にいなくなると寂しいでしょうね。
その尊敬する上司のさまざまな言葉を、私は今でも座右の銘のように思っています。
その上司のようにいつも部下を気にかけることを心がけています。表面だけでなく、心から部下を思う気持ちを忘れずにいようと思っています。
しかし、これには才能もあるのでしょうね。その上司のようには上手くいかないことが多々あるのも事実です。
しかし、それで諦めることなく、ひたすら部下のことを考えていると、部下にその気持が通じる日が来るということを、私は身をもって知っています。
今ではそこそこ部下に一目置かれているのではないかと自負しています。
元々はわがままで、周りの人のことなど、二の次と考える性格だった私がここまで変わったのは、尊敬する上司がいたからこそです。
そんな出会いがなければ、きっと私は闇の中に沈んでいたのではないか。ある程度出世したとしても部下を上手くコントロールできない駄目な上司になったのではないかと思います。
僕の性格を変えてくれた上司にはどれだけ感謝しても足りない
世の中にはリーダーシップに長けていて、ぐいぐい部下を引っ張っていく上司も多いと思います。
それも当然悪くはありませんが、
私の尊敬する上司のように寡黙だけれども、素晴らしい知識と底知れぬ優しさを基礎にしてチームワークを強固にするタイプの方が日本人に向いているのではないかと私は考えています。
もちろんそうなるには、血の滲むような努力と勉強、そして慈しむ気持ちが必要なので簡単ではありません。
しかし、上司として目指す一つの方向ではあると思います。目指しているうちに少しずつ変わっていく自分を見るのも楽しいものです。
上司という立場はとてもきつい面があり、押し潰されそうになる瞬間も多々ありますが、チームワークが強固になればなるほど、その中から救世主も生まれてくるものです。
私も部下に重要な局面で助けられたりします。それもこれもチームワークのお陰だと思っています。また、尊敬する上司のように助けられたら、いつか助けてあげたいという気持ちが強くなりました。
跳ねっ返りの僕の性格をここまで変えてくれた上司には、どれだけ感謝しても足りないほどです。
まだ恥ずかしいので口に出したことはありませんが、退職される折には、必ず今までの感謝の気持ちを言葉にして送り出してあげたいと思っています。
・有能で仕事ができ、部下への思いやりのある上司:
→ 女性事務職として出会った、尊敬できる上司。尊敬できない上司
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→ 仕事への向き合い方を教えてくれた尊敬する上司
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→ 新入社員のときに出会った、父のように温かく尊敬できる上司
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・気さくで部下に成長のきっかけを与えてくれる上司:
→ 部下を尊重し任せてくれたキャパの大きな尊敬する上司
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→ 真剣な姿を見せることで責任感を教えてくれた尊敬する社長