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情報不足でしくみが確立されていない物流会社
42歳の男性です。以前は物流会社に勤めていました。職種は倉庫作業員(リフトマン)で、仕事内容は倉庫作業、清掃・軽作業。退職時の役職は主任でした。
この会社には、倉庫作業員が勤務する場所が3か所ありました。私が勤務していたのは、そのうちの1つで、洋紙の平版を取り扱う倉庫でした。
この倉庫の現場作業員は私一人だけで、あとは事務員が一人、社長、常務、総務、保険、所長が各一人ずついました。
現場で作業するのが私一人だったので、入出庫業務全般を行っていました。荷主は親会社です。うちの会社が親会社の物流を担っていたのです。私は荷主との連絡などには一切タッチしておらず、そういう仕事は所長や事務員がやっていました。
商品の荷姿や包装形態などは現場でしかわかりません。
荷主である親会社の方たちもそうしたことを知らないまま、いろんなことを言ってきたので、かなり仕事がやりにくい状況でした。例えば、その日の入庫がどれだけあるか事前にわかりませんでした。
また、梱包などのやり方も確立されていませんでした。
仕事のやり方が確立されていないことが作業ミスにつながっていた
そのような状況の中、わけのわからない言い方をされて、ついイライラした物の言い方をしてしまうことがありました。
また、予想していなかった仕事が急にきて、慌てて仕事をする中で、商品にリフトを当ててしまうなどの作業ミスをすることもありました。
商品にリフトを当ててしまうと商品を傷つけることになります。取り返しがつかない失敗と言えます。
荷主への大事なフォローについては、私が直接、謝る立場になかったので、心苦しいところでしたが、所長や事務員さんに謝るしかありませんでした。それについては、以降、気をつけるしかありませんでした。
社長に改善の提案をしたことで状況が変わった
しかし社長が代わり、所長が引退してからは状況が一変します。
新しい社長は前の社長と違って、現場作業員の話を積極的に聞く姿勢がありました。そこで、私は現状の仕事の不満をもとに具体的な提案をするようになりました。
「入庫の予定表をもらえませんか?」とか
「直に荷主との連絡をしてもいいですか?」などです。
また日報用のノートを配布されたので、その日あったことについて、私が考えることをそのノートに詳細に記していきました。
その結果、入庫の予定表については、すべてではありませんが、大口などのものはいただけるようになり、ある程度の段取りが組めるようになりました。
荷主との連絡については、“窓口が増えると荷主の親会社が混乱する”との理由で私が直に連絡することはできませんでした。
ただ、状況をわかっていただいてからは、私が直接荷主の担当者に電話することもできるようになりました。
また、営業の方が現場に足しげく通ってくださるようになり、少しずつですが状況が改善されていきました。
自分の経験をもとに現場改善について思うこと
商品にリフトを当ててしまったことは、あってはならない失敗です。この失敗や、その後の現場改善をふり返って今、私が思うことは次の通りです。
現場を知っている担当者として意見をしっかりと言うことができたときに、現場の改善が実現しました。
それまでなかった商品ごとの規格表をExcelで作成することもしました。
規格表があると、商品の1束が何枚包装であるか、1パレットでどの数があるかなどもわかります。これを事務員さんに渡し、業務連絡に活用してもらうなどの改善ができました。
もちろんこれは、上司が現場作業員の意見をしっかり聞く姿勢がないと成立しないことです。
しかし人間は不平不満を抱えたまま仕事を続けていたら、自分の体調が壊れるなど最終的には自分が損をすることになるのです。
なので、今、現状で毎日いっぱいいっぱいで仕事をしている人たちには、勇気をもって声を挙げてもらいたいです。そうしないと自分がだめになるだけです。
そして、そうなっても会社というのは別の人間とチェンジすることを考えるだけなのです。