私は4年前から、年商20億円ほどの建材卸売会社に勤務しています。
経営企画やバックオフィス全般を担う仕事が担当です。
前職は税理士事務所の職員でした。
そのときに、今の会社の社長に
「バックオフィス全般を任せたい」と声をかけていただき、入社したという経緯です。
今ではバックオフィスにとどまらず、会社のさまざまな課題に幅広く対応するような役割を担っています。
Contents
1. 組織の急成長とともに課題が出現
勤務先の建材卸売会社はここ5年ほどで急速に成長しています。社員も10名そこそこだったのが、今では30名以上となり、会社の課題も組織に関するものが多くなってきています。
具体的な課題としては2点あります。
一つは、現場はオペレーションを回すことで手一杯になっており、業務負担が重いという声が多くなってきている点です。
もう一つは業務負担の重さとは逆に、業績の伸び率が低下しているという点です。
これは当然オペレーションの仕組み的な問題もあるとは思います。
一方で、「そもそも何のために、我々はこの仕事をしているのか」という理念の部分が個々の社員に行き渡っていないことも大きな原因ではないかと考えました。
2. 理念浸透の取り組み
(1) 新入社員研修の導入
そこで、取り組んだことの1つが、新入社員研修の導入です。
理念というものはもともとあったのですが、ホームページ上ぐらいにしか存在していませんでした。そのため、新しく入ってきた社員の割合が増えてきたにもかかわらず、それを周知徹底する仕組みがありませんでした。
そこで、新しく入った社員には必ず会社の説明と同時に、理念の説明もするようにしました。
理念については、社長自らに話してもらい、どうしてそのような理念にしたのか、理念を一人ひとりが体現するためにはどうすればいいか、ということを話してもらっています。
しかし、この取り組みを行うことで、理念自体を認知してもらうということは達成できたのですが、まだ「浸透」し「実践」してもらうまでには、至りませんでした。
(2) 朝礼での理念を交えた挨拶
そこで次に取り組んだことは、朝礼での理念を交えた挨拶です。
我が社の朝礼は、担当制です。担当者は、簡単なスピーチとあいさつをして1日をスタートさせます。そのスピーチに理念をどのように実践するか、理念にまつわるエピソードなどを話してもらうようにしました。
これによって、理念の「言葉」自体はかなり浸透したと思います。
ですが、まだ社員それぞれが理念を体現し「実践」するレベルには至っていないとも感じています。
現状で理念浸透・理念実践に関する実践的な取り組みはこの2点です。
3. 理念浸透において重要なポイントは
理念浸透に取り組んでみて、重要なポイントと感じることが2点あります。
(1) 経営者が理念の一番の実践者であること
理念は、わかりやすく伝わりやすい言葉で表現することが大事です。なぜなら、伝えたい相手に伝わらなければ意味がないからです。
ですが、それ以上に伝える上で重要なのは、その理念を伝えたい人自身が、その理念を体現しているかどうかだと感じています。
たとえば「人に喜んでもらおう」というような誰が聞いてもいいと思えることを掲げていても、それを言っている人が人を傷つけていては、誰もその人の言うことを実践するはずがありません。
なので、理念を掲げた張本人(つまり経営者)が、その理念の一番の実践者である必要があると思います。
(2) 日々の活動の中で理念を浸透させていくこと
もう一つ重要だと感じていることは、形式的な取り組みではなく、日々の活動の中で理念を浸透させていくことです。
さまざまな考え方の社員がいる中で、我々が取り組んできたような形式的な理念浸透のための取り組みでは、そのタイミングだけにしか影響を与えることができません。
逆に言うと、先ほど書いたように、経営者自身がその理念を体現して日々接していれば、社員も日々の中で影響を受けるはずです。
そして、その影響を受けた社員がまた別の社員に影響を及ぼしていくというような、好循環が必要だと感じています。
4. 理念浸透に向けて注力している2つのポイント
つまり、一人ひとりの社員に対して、理念体現の姿勢を見せ、影響を与えていくことが理念浸透における重要なポイントです。
一方で、我が社は社員数も30人を超え、社長自らが社員一人一人に影響を及ぼすことはやや無理がある状況となっています。
なので、社内で影響力の強い役職者などの社員に対して、徹底的に理念体現の姿勢を見せ、影響を与えていくことが重要です。
この考えから、今、我が社で力を入れていることは以下の2点です。
(1) 社長自身が理念と自身の行動を一致させる
一つ目は、社長自身が理念と自身の行動を一致させることを日々重視するということです。
(2) 社長と幹部社員が積極的に交わる機会を増やす
二つ目は、その上で、社長と幹部社員が積極的に交わる機会を増やす取り組みをすることです。
「体現」ということが非常に重要なキーワードであると、身に染みて感じています。
私も社長と同様に、理念を体現していくことを意識して日々取り組んでいます。