本気でぶつかってくれた厳しいながら尊敬する上司

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本気でぶつかってくれた厳しいながら尊敬する上司

飲食店

飲食店のローカルチェーン店を運営する会社に就職

私は以前、飲食店のローカルチェーン店を運営する会社に勤務していました。大学生の時に、その会社の店舗で、アルバイトとして働いていたことがきっかけです。

たまに、バイトにはまって、学校に行かなくなる男子大学生がいますが、私がまさにそれでした。大学よりもアルバイトが楽しくて仕方なかったのです。

勉学よりも働くことを選んだ私は、そのまま正社員として採用されることになります。

ただ、当時の会社はまだ小さくて10店舗ぐらいしかなく、社長も部長も関係なく、忙しければみんなでお客さんの接客や調理をするような状況でした。

ですから、大学生の一アルバイトでも、週に5日も6日も働いていると顔も名前も覚えられてしまいます。そうしたことから、正社員で採用された後も変わらず、お客様に声をかけていただいていました。

私が入社するとき、社長は忙しい中、わざわざ私のために時間を作り、
「うちに来てくれてありがとう」と固い握手をしてくださいました。

社長はいつでも私を気にかけてくださっていました。食事や飲みに連れていっていただいたり、家に泊めていただいたり、二代目の方と一緒に研修旅行にも行かせていただいたりと相当の好待遇の扱いをしてくださっていました。

今考えると、とてもありがたいことです。

職場でのやっかみの中で、厳しい上司に出会う

しかし、そういった社長の私への扱いは、職場にやっかみや嫉妬のような感情を巻き起こしました。社長は良かれと思って、いろいろしてくださったのですが、社内的には、私は冷ややかな扱いを受けるようになってしまいました。

同僚の目から見ると、それは当然のことかもしれないですが、
“自分が好きで、社長とそういう関係性になったわけじゃないんだから”
と私の方もどこかで、被害者的感覚になっていたと思います。

それを気づかせてくれたのが、当時、複数店舗を管理するエリアマネージャーだった一人の課長です。

この方は二人きりの時は社長以上にいろんな話をして、嬉しさや悔しさを共有できる関係性だったのですが、いざ現場で仕事をするときは誰よりも私に厳しく、会話すらしてもらえない時もあるくらいでした。

その頃、まだ私は20代の前半でした。

たまたま、がんばっていたのが目立っていたために、勢いを感じてもらい、期待感を込めて、料理長や副店長、そして店長へと導いてもらえていたんですが、そんなこともわからず、
「自分の実力はこんなもんじゃないで!」
くらいに自惚れていました。

その時の自分は、若さ故に尖っていたというか。今考えると、本当に礼儀も知らないし、生意気というか。ただのアホですね、多分。

その長く長く伸びきった鼻を根元からポキンと折ってくれたのがそのマネージャーでした。いっぱい恥をかくように仕向けられました。

私の方も感情のままに突っかかっていったこともありました。でも、全てを受けとめた上で必ずきちんと話をしてくれていました。一番の理解者だったのだと思います。

上司は本気でぶつかることで、“本当の愛情”を教えてくれた

気がつくと、最初に出会ってから、お互いが在籍している間はいつも同じ部署でした。部署が変わろうと、立場が変わろうと、いつでも私の上司はその方でした。

新しいことについても必ず、私にチャンスと経験を両方積ませてくれました。提案も全て聞いてくれました。

だから私も、誰かが批判したとしても、その方の命令はいつも受け入れていました。その方に恥をかかせたくなかったんです。

どれだけ私にきつく当たったとしても、態度や言葉から、
「おまえ、這い上がってこい!」
という気持ちがいつもビンビンに伝わってきていました。

それを感じていたので、その方を信頼することができました。愛情を持っているかどうかは部下には必ず伝わるということを教えてもらいました。

また、天狗の鼻をバシバシと折ってくれたことで、謙虚さの大切さ、そして、感謝の気持ちを教えてもらったのです。

夜に、二人で残業をしていた時のことです。数日前にその方の親御さんが亡くなられたという話を聞かせてくれました。

私の親は離婚して、母とは離れ離れ。父はギャンブルばかりする親だったので、親の温かみとかあまり知ることがなかったのですが、その方は、“亡くなって初めて知った親のありがたみ”を一生懸命説いてくれました。

その方の
「おまえの母ちゃん、出ていってしまって恨みがあるかもしれないけど、やっぱり苦労して産んでくれたんだから、そろそろ会ってやったほうがいいぞ。
死んだらなんともならないからな」
という言葉を聞いて二人で泣いたことは今でも忘れられないです。

それから間もなく、母と20年ぶりに会うことができました。それがきっかけで、母方の祖母の葬式にも参加できるようになりしました。

上司は部下に本気でぶつかっていかないとダメ

私のケースは極端な例かもしれません。また、私とその方は10年以上ずっと一緒でしたので、ここまでの信頼関係を築くのは普通では難しいかもしれません。

しかし、“この部下をなんとかしたい”と思ったら、本気でぶつかっていかないとダメだと思いますし、あえて厳しくすることで、多くのことを気づかせることができると思います。

私が退社する時、最後に相談した相手もその方でしたが、退社してからは“あえて一切の連絡はとらない”というスタンスになりました。
“独り立ちしてみろ”というエールであったと思います。

そして、私を自分の子供のように可愛がってくれた社長は、私が引っ越すその日に家まで来てエールを送ってくれました。本当の親のようでした。

私には、会社に親と先生がどちらもいたんです。幸せ者でした。

もちろん、こんな会社にはその後は一度も出会っていません。でも、自分自身でこんな上司と部下の関係が持てたら、あの会社にも恩返しができるのかもしれません。

私が出会った尊敬できる上司

・有能で仕事ができ、部下への思いやりのある上司:
女性事務職として出会った、尊敬できる上司。尊敬できない上司

・有能で仕事ができ、部下を守る上司:
仕事への向き合い方を教えてくれた尊敬する上司

・部下への思いやりと気遣いのある上司:
新入社員のときに出会った、父のように温かく尊敬できる上司
上司としても、人としても尊敬できた私の上司

・知識豊富で思いやりのある上司:
半端ではない知識量。寡黙ながらも優しく尊敬できる上司

・気さくで部下に成長のきっかけを与えてくれる上司:
部下を尊重し任せてくれたキャパの大きな尊敬する上司

・仕事に対して真剣な上司:
真剣な姿を見せることで責任感を教えてくれた尊敬する社長