財務会計に役立つ-「新・現代会計入門」(伊藤邦雄・日本経済新聞出版)

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財務会計に役立つ-「新・現代会計入門」(伊藤邦雄・日本経済新聞出版)

新・現代会計入門

私は重電・産業用電気機器業界の企業にて、約7年間で働いている30代の男性です。

所属部署は資材部です。最初の3年間はバイヤとして、国内・海外の仕入先から電気機器の部品や素材を調達しました。

現在に至るまでの4年間は調達企画グループの主任のポジションにて、バイヤが使用するシステムの構築・サポートや、取引先管理等に従事しています。

1. 「新・現代会計入門」(伊藤邦雄・日本経済新聞出版)

私がキャッシュフロー計算や財務分析で有用だと考える書籍は、「新・現代会計入門」(伊藤邦雄・日本経済新聞出版)です。

私はこの書籍を国内MBAに通っていた際に授業で使用していました。そして、その後の中小企業診断士の試験勉強の際もたびたび読み返していました。

資格取得後も会社の机の中に常に入れています。いわば会計の辞書のような本です。

この書籍は約700ページの大作です。初めは読むのに億劫になるかもしれません。したがって、1ページ目から順番に読むのではなく、自分の興味のある分野から、もしくは診断士の勉強中に分からなかったり、理解が不十分と考えたりする分野から読むのがお勧めの読み方です。

2. 「新・現代会計入門」概要

「新・現代会計入門」の概要は以下の通りです。

現代の企業会計
第Ⅰ部 企業会計のパラダイム
 ・企業会計の本質とフレームワーク
 ・会計制度の論理と体系
 ・企業のディスクロージャー

第Ⅱ部 資源フローの会計
 ・損益計算書のパラダイム
 ・経営パフォーマンスの測定と表示

第Ⅲ部 資源ストックの会計
 ・貸借対照表のパラダイム
 ・持分の会計

第Ⅳ部 公正価値会計
 ・金融商品の会計
 ・従業員給付の会計

第Ⅴ部 グループ・グローバルの会計
 ・連結グループの会計
 ・企業結合・事業分離等の会計
 ・グローバリゼーションの会計
 ・戦略的企業評価に向けて

第Ⅰ部「企業会計のパラダイム」では、企業会計の本質とフレームワーク、会計制度、そして企業のディスクロージャーについて述べられています。これらは中小企業診断士の試験には、直接関係のない項目かもしれません。

しかし、「会計とはそもそも何なのか?」という問いに対するベースとなる考え方を学べます。試験に関連のある所を読んだ後でも良いので、読んでみることを推奨いたします。

第Ⅱ部「資源フローの会計」では損益計算書とキャッシュフロー計算書、第Ⅲ部「資源ストックの会計」では貸借対照表について解説されています。

そして、第Ⅳ部「公正価値会計」では金融商品や従業員給付に関して、第Ⅴ部「グループ・グローバルの会計」では連結グループの会計や戦略的企業評価に関して記載があります。

特に、第Ⅴ部の最終章では財務分析(ファンダメンタル分析)について詳細に解説されています。

この財務分析の部分を読むだけでも、中小企業診断士試験はもとより、その後の中小企業診断士としての活動や企業活動でも大いに役立つ知識が得られます。

3. 「新・現代会計入門」お勧めポイント

(1) 事例が豊富(ファーストリテイリング・しまむら・ユナイテッドアローズ)

また、アパレル業界(ファーストリテイリング・しまむら・ユナイテッドアローズ)やレトルト食品(ハウス食品・ヱスビー食品)等、身近な企業の事例を用いて説明されているため、頭に入ってきやすい内容となっています。

この書籍は約700ページあり、章によっては内容が難しい部分もあります。そのため、頭から読み始めると挫折してしまうかもしれません。

実際、私も途中で中断する時があったため、全てを読破するのに2か月程かかりました。

ただ、読み物としては読みやすい文章です。かつ説明も詳細です。そして表面的な会計に知識から一歩踏み込んだ知識を得ることが可能です。

自分の興味がある分野からとりあえず読んでみる、といったスタンスで読み進んでいただければ良いと私は考えます。

(2) ファンダメンタル分析に役立つ

この書籍から習得した知識は、中小企業診断士の実務補習や実務従事だけでなく、現在働いている企業においても役立っています。

私は資材部の調達企画グループにて仕入先管理を担当しています。その中で、仕入先の財務諸表をもとにファンダメンタル分析をすることがあります。

仕入先の収益性に問題がないか、キャッシュフローが厳しくなっていか等を確認するためです。

仕入先の倒産や廃業は事業の継続に大きなインパクトを与えます。財務状況の確認は重要な仕事です。その確認に漏れがないかどうかの確認やアップデートの際、この書籍は非常に役立っています。

「新・現代会計入門」はその分厚さから一見難しそうに見えるものの、中身は読みやすく、会計の奥深さを知ることができる良書です。

特に、第Ⅴ部の最終章にある財務分析(ファンダメンタル分析)に関する内容は、多くの中小企業診断士の方に有意義なものと私は考えます。ぜひ手に取って読んでみることをお勧めいたします。

新・現代会計入門

「新・現代会計入門」(伊藤邦雄・日本経済新聞出版)

なお、私が中小企業診断士の資格を取得した経緯については以下に記載しています。
「MBA取得後、中小企業の知識補完のために中小企業診断士を取得」

中小企業診断士に合格し、資格を活用するには

20代なら読みたい
・20代前半で中小企業診断士に合格。コンサルティング会社に転職
・20代前半で中小企業診断士を取得した公務員の合格体験談
・私が20代での中小企業診断士取得で得たメリット
・20代女性-中小企業診断士の資格取得で経理からM&A仲介の世界へ
・20代女性の中小企業診断士資格取得-公的支援機関への転職に成功
・20代で中小企業診断士資格にストレート合格。コンサルタントに
・コンサルタントとしてスキルアップするため中小企業診断士を取得

30代なら読みたい
・中小企業診断士に合格して人生が一変-30代で合格した商社マンの体験
・中小企業診断士の資格取得後の誤算-30代技術職男性
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・MBA取得後、中小企業の知識補完のために中小企業診断士を取得
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・「ふぞろいな合格答案」で3回目に中小企業診断士に合格-30代男性の合格体験談
・30代男性。4年目で中小企業診断士に合格したマーケティングエンジニアの勉強方法

40代なら読みたい
・40代男性自営業。独学で中小企業診断士に一発合格
・40代男性-費用は1万円弱。中小企業診断士試験に1次、2次とも無事一発合格
・40代男性-ぬるま湯からの脱皮のために中小企業診断士を目指し、独学一発合格

女性におススメ
・30代女性の中小企業診断士資格取得-仕事もプライベートも充実