「中小企業診断士」は国内唯一の経営コンサルタントの国家資格です。
今、この資格取得を目指すビジネスパーソンが増えています。
そこで、この資格への挑戦を決意するために役立つポイントをいくつか綴っていきます。
Contents
1.中小企業診断士の資格取得のきっかけ
私は専門商社に約15年勤務する傍ら、中小企業の経営者と多く関わってきました。
新卒の頃からずっと営業に従事してきました。
決して景況が上昇基調にある業界ではありません。
得意先は中小企業が多いのですが、景況の悪化によって廃業が増加しています。
また、ここ数年はM&Aによって、私の勤務先の関係会社になっていただくパターンも増加しています。
私は、営業としてつき合いが深かった経営者が、ひとり、またひとりと姿を消していくことにもどかしさを感じていました。
このような経営環境によって、私の職場でも経営の知見を持つ人材の確保が急務になっており、中小企業診断士の資格取得を奨励していました。
私自身も、1社でも多く中小企業の経営を支援したい。微力でも力になれる自分自身の知見を蓄えたい。
このような想いから、資格取得を思い立ちました。
2.中小企業診断士の資格取得まで
中小企業診断士の試験は、経営の幅広い知識を問われる1次試験と、実際に診断と助言を必要としている企業のケース事例に対し、筆記で答える2次試験があります。
2次試験の通過者には、最終関門として口述試験があります。
(ただし、口述試験はほとんどの2次試験合格者が通過しています)
私の勉強方法は、大手資格予備校への通学がメインでした。
実際は、通信講座もセットになった総合パックのカリキュラムを選択しました。
通勤時間などの空き時間にも、徹底的に講義を受講できる環境を整えました。
また、2次の筆記試験に不安を強く感じた私は、対策を強化するために予備校も変えました。
自分の志向に合う2次試験の専門校に移りました。
こうして、1次試験を1回でパスした後、2次試験は2回目の挑戦で合格できました。
なお、2次試験は1度の1次試験通過によって、その年とその翌年の再受験が可能になっています。
私の場合、勉強した期間は合計1,200時間程度でした。
かかった費用は、予備校の通学や外部教材の購入で60万円程かかりました。
最近は独学で学習する方も増えています。
市販教材や受験生同士の学習会が充実してきていることも理由のようです。
私が合格できたのは、予備校の講義カリキュラムに合わせて、復習と模擬試験対策を徹底的に行ったことが役立ったと考えています。
3.特に難しいと感じた科目は経済学・経済政策
幅広い科目を学習する必要がある中で、最も難しいと感じた科目は、1次試験の「経済学・経済政策」です。
過去に大学等で経済学に触れている方は、抵抗感なく学習に入れる科目かもしれませんが、私はそうではありませんでした。
「IS‐LM曲線」、「ケインズ経済学」、「古典派経済学」…。
聞いたことがあるでしょうか?
予備校の授業を一度聞いただけでは全く理解できませんでした。
見慣れないグラフや聞きなれない用語が次々と現れるため、単に暗記するものでもありません。そのため、私は市販の書籍を買い求め、自分の理解が進まないところを照らし合わせながら学習をすすめました。
私が買った本は、多くの経済学の学習者から支持されているものです。
石川秀樹先生の「速習!マクロ経済学」と「速習!ミクロ経済学」です。
この二冊は本当におすすめです。
本科目の中で学術的に述べられがちな経済活動を、身近な例に置き換えて解説してくれています。何より、無料で石川先生の解説動画が公開されており、これが本当にわかりやすい!
理解するまで、繰り返し視聴することで、予備校の授業で理解に至らない部分をしっかり補ってくれました。
4.中小企業診断士に合格してから
中小企業診断士に合格した後は人生が一変しました。
具体的には、以下のようなことが起こりました。
(1)社内での異動
冒頭に記した通り、現在の勤務先ではずっと営業畑の仕事をしていました。
資格取得後に、人事部へ今後のキャリアとしてステップアップできる部門への異動を申し出たところ、経営企画部への配属となりました。
(2)副業での経験蓄積
私の会社は副業に容認的なため、勤務時間外で積極的に行っています。
例えば、現在は企業の資金調達手段として、行政の多様な補助金制度が設けられています。
私は、補助金申請書の作成補助など、実務に関われる内容で副業をしています。
中小企業診断士としての経験を積みながら収入を得られるのが魅力です。
(3)資格取得までの道のりをふり返って思うこと
難関の国家資格である以上、この資格の取得には長い道のりを要します。
家族がいれば、当然理解と協力を得ることが必要です。
自身の学習スケジュールの立て方にもよりますが、私の場合は学習時間の確保を優先するあまり、家族とのコミュニケーションが手薄になってしまいました。
家族行事とのバッティングなど、何度か家族に迷惑をかけたこともあります。
そこで、学習の後半はスケジュールをしっかり家族と共有しました。
幼い子供もいましたので、時にはまるまる家族との時間を持つようにして、コミュニケーションを欠かさないように工夫していました。
こうしないと、いずれ家族の応援も得られにくくなり、学習を進めるにも肩身が狭くなります。
5.今後の中小企業診断士の資格活用
(1)資格を活かして独立開業をする予定
今後、私は中小企業診断士の資格を活かして、独立開業をする予定です。
現在は、独立後のサービス開発や、ホームページの作成などプロモーションの準備をしています。
独立後にスタートダッシュを切るため、しっかりと準備をしておきたいと思っています。
中小企業診断士は人的ネットワークを作るのに適した資格と言われます。
私も診断士同士が集まる研究会やイベントに積極的に顔を出し、人脈を構築しています。
これが、診断士同士や経営者との出会いに繋がり、人生の可能性を広げてくれました。
(2)トライして損はない資格
中小企業診断士は、ビジネスパーソンとして現在のキャリアに不安を感じる瞬間があるのなら、トライして損はない資格です。
私は、何より学習の課程で得られる経営視点の知識だけでも、大いに収穫があったと考えています。ただし、本気で取り組むことです。中途半端な学習は、単に時間と費用をムダにするだけです。
中小企業診断士は、財務会計から法務的な面まで、あらゆる知識を習得することが求められます。
広範囲であることに戸惑いを感じ、途中で学習をドロップアウトしてしまう方も少なくありません。学習開始に際しては、事前にしっかりと情報を取集して、計画的にコツコツと学習を進めることをオススメします。
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