建築物環境衛生管理責任者の資格取得を考えた理由
私は病院設備専門のビルメンテナンスの会社に勤めています。30代半ば頃に勤めていた会社が倒産して、新たなキャリアを構築しようと思い、この業種を選びました。
勤め先では平社員です。仕事場の雰囲気が良いので、だらだらと勤め続け、今年でもう4年目になります。仕事は営繕と点検・整備です。作業に対する責任は当然ありますが、中間管理職のような責任はないので、その点は気楽なものです。
入社当時は、乙種危険物と2級ボイラー技士、3種冷凍機械責任者しか資格はなく、電気工事に関する資格は持っていませんでした。2種電気工事士を取るまでは一生懸命やったのですが、そこで必要な資格が揃ってしまったので、途中いろいろ取りましたが、難しい資格には挑戦しませんでした。
でも、男と生まれたからには家族を養えるような所得を目指したいので、一念発起して、手始めに建築物環境衛生管理責任者を受けることにしました。
この資格は実務経験が必要で、受験当日に満2年の実務経験が必要になります。私の場合は実務経験の条件はクリアしていたので、思い立ってすぐに受験することができました。
半年前から勉強の計画を立てて、過去問を購入しました。5年分の過去問をくり返しして、ある程度覚えたら休憩して、もう一度くり返すという作業を最初の二か月間、行いました。
コンクリートの中性化や鉄筋構造物のかぶりなどのややこしい設問
勉強しはじめてすぐは頭が疲れていないので、黙読でも内容が頭に入ってくるのですが、ある程度、続けていると、内容をよくよく把握しないと頭に入ってこないような箇所も出てきました。
例を挙げますと、建物の構造部分に関する話で、コンクリートの中性化に関する問題などがそうでした。
確か設問は、「コンクリートは炭酸ガスと反応しアルカリ化する」だったと思うのですが、コンクリートはもともとアルカリ性で、水酸化カルシウムがその主たる構成物資です。これに炭酸ガス(二酸化炭素)が反応すると炭酸カルシウムになり、中性化するのです。
他には、「鉄筋構造物のかぶり」に関する設問も一読ではややこしい文章でした。「かぶり」とは鉄筋表面からコンクリート表面までの距離です。ところが、設問では「鉄筋中心から」になっていました。
先に書いた、炭酸ガス(二酸化炭素)との反応による中性化深度が鉄筋まで届いてしまうと、コンクリート中の安定した塩(フリーデル氏塩)が酸化反応する動的な塩に変化して、鉄筋を腐食させてしまいます。
そのために「かぶり」は、鉄筋中心からではなく、表面から表面の直線距離になるのでした。
ぎりぎりの得点で合格
こんな感じで、疑問に感じたことを一つ一つ調べて、本で学んだことを応用の利く知識に替えながら、暗記していきました。覚えることの量が多すぎて、ぎりぎりまで暗記量を増やすことに専心しました。
そして、ついに受験当日になりました。
受験当日は、午前と午後に3科目ずつ合計で6科目を一日に受験します。この試験は科目合格がありません。後で自己採点すると、午前中は頭が疲れていなかったせいか、3問くらいしか間違えていなかったのですが、午後からの建築部分は、苦手なのと眠たさと戦いながらの受験だったため、結構ぎりぎりの得点でした。
この試験は集中力を切らさないことが本当に重要だと思いました。
建築物環境衛生管理責任者の資格を取得してからわかったこと
受験は一回で合格したのですが、私の場合は、地方都市に勤務し、なおかつ派遣社員という立場でした。合格後に「元請の契約社員になりませんか?」という打診はあったのですが、それには転勤が条件でした。
元請の契約社員になると賞与も出ますので、いろいろと悩んだのですが、地元を離れられない事情があるため、その打診については断って、今も元のままの立場で仕事をしています。
また、別のあるホテルから、建築物環境衛生管理責任者の資格保有者を採用したいという打診もあったのですが、これも断ってしまいました。
この会社は複数のホテルを運営している会社でした。一人の環境衛生管理責任者が複数施設を兼務するのは良くないという流れの中で、各施設に1名となると要員が足りないという話でした。
断った理由は、責任者としての求人で、いろいろなことに対応することを求められたためです。
ビルメンテは気楽な仕事と思われますが、地方のホテル等が求めているのはいわゆる「何でも屋」さんです。できることがたくさんないといちいち業者を呼ぶことになるため、経費がかかります。そうなると、期待に沿えないことから、すぐにクビになってしまうと思いました。
帳票上の部分については全部頭に入っていましたが、配管工については全然で、この部分が職人レベルでないと務まらないと思ったのです。
結局、建築物環境衛生管理責任者の資格を有効に活用するには、現場の修理がいろいろとできるようにならないと役に立たないという結論に至りました。
そこで、今は、今の勤務先での仕事以外に兼業で、工事屋の手伝いをしたりして、できることを増やしていっています。