女性社員とパート社員の衝突。女性係長の協力で問題解決

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女性社員とパート社員の衝突。女性係長の協力で問題解決

衛生研究所

製薬会社で子会社に出向

私は、薬科大学の修士課程を修了後、教授の口利きで、中堅クラスの製薬会社に就職しました。配属先は研究開発部門で、診断薬の開発に携わることになりました。

私はそこで26年間勤務し、最終的な役職は課長職でした。その後、子会社に出向となり、衛生検査所の管理者として、部長待遇で検体検査業務の統括管理を行いました。

この製薬会社を60歳の定年で退職し、社員数50名程度の小さな製薬会社に再就職しました。医薬品原料を製造販売している会社で、肩書は研究開発部門の部長でした。

この会社では3年間勤務し、63歳で退職して、現在私は65歳を迎えたところです。私がこれからお話するのは、私が子会社である衛生検査所で管理者をしていた時の体験談です。

女性社員が多い衛生検査所

この衛生検査所では、主にアイソトープを使用したラジオイムノアッセイと呼ばれる手法で、病院から預かった血液や尿中の副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモンの測定を手がけていました。

売上は年間1~2億円程度であり、現状の売上を維持できれば良いというのが会社の方針でした。したがって、新規測定項目の開発などで頭を悩ませるというようなことはありませんでした。

この職場は、それまで親会社で26年間勤務してきた研究開発部門とは、いろいろな点で異なっていました。まずは部下の数です。

親会社で課長をしていた時には、私と同性の男性の研究員3名が、私の下で働いていましたが、この子会社では、管理職が2名、係長が2名、そして一般職として測定を担当する社員が15~16名、さらにパート社員が2名と、親会社にいた頃と比べると大変な大所帯でした。

検体の測定業務を行う担当者の9割は女性が占めていました。

パート2名も女性で、係長は1名が女性でした。私を含めた管理職3名は全員男性でしたが、女性の比率が大変に高い職場であり、親会社で働いていた時のように、部下全員が男性だった時とは職場の雰囲気もずいぶん異なっていました。

たとえば、事務所や測定室、休憩室は整理整頓が行き届いており、測定に関する業務マニュアルの順守や測定記録、日誌等も滞りがなく徹底されていました。

測定担当の女性社員とパート社員との衝突

しかし、良いことばかりではありませんでした。良くないことは、風評や些細なことから進展した人間関係のもつれによる感情的な衝突やクレームが多かったことです。在籍中に、一度こんなことがありました。

パート社員の業務は主に、検体の測定に使用した器具類の洗浄で、測定室内の洗い場で洗浄作業を行っていました。測定室は測定チームAが使用する測定室Aと、測定チームBが使用する測定室Bの2つがあり、パート社員はローテーションで各測定室から出される器具類の洗浄を担当していました。

測定する検体数は曜日によって変動するため、洗い物の数も日によっては少ない時があります。洗い物の数が少ない時には、室内の清掃や、測定に使用する小物類の作製も付帯業務として、パート社員にお願いしていました。

ところが、測定担当の女性社員から、あるパート社員についてのクレームが報告されました。そのパート社員は、洗い場の隅で居眠りをしたり、また、二人で作業している時などに、大声で長々と世間話をしているというのです。

そこで私は、事実関係の有無について、確認するように課長に指示をしました。パート社員に確認した課長からは、そのようなことは全くないとの報告がありました。

私はパート社員以外にも、何人かの測定担当者に聞き取りをしましたが、パート社員どうしの雑談は皆気になっていたようでしたが、居眠りの件については、はっきりしないままでした。

その間にも、クレームを申し入れてきた女性の測定担当者からは、パート社員を替えて欲しい旨の要望が再三にわたってありました。

そこで、パートを管理室に呼び、居眠りや過度の雑談があったという訳ではないが、仕事中にはそうした行為は慎むよう、注意を促すことでこの件の収拾を試みたのですが、かえって状況は悪化してしまいました。

測定担当者とパート社員間の溝はさらに深まり、測定業務と洗浄業務とのコミュニケーションが滞りがちとなり、両者間での連携にも支障を生じるようになってしまいました。

女性の係長の協力で問題を収めることができた

困った私は、2名の課長とも相談し、この状況を打開するために1つの案を実行することにしました。その案とは、それまでは、パート社員は課長が人事的な管理を行っていましたが、女性の係長にその業務を引き継がせるというものです。

その女性係長は、測定チームAのリーダーで、女性の測定担当者からの信望も厚い人でした。また、女性同士の方が立ち入ったところまで踏み込んだ話もできるとも考えて、その係長に両者の仲介役として協力を要請しました。

この案を実行するに当たっては、女性の係長には状況をきちんと説明し、
「大変困っているので力を貸してほしい」
と、私から直接話をして納得をしてもらった上で、引き継ぎを行いました。

女性の係長はそれぞれの測定チームとミーティングを行い、この件についての問題意識の共有化を図ると同時に、全員と意見交換を行いました。そして、パート社員とも話をした後に、私のところにミーティングの成果と、パート社員からの要望について報告に来ました。

パート社員からの要望は、小さいスペースで構わないので休憩室を作ってほしいというものでした。測定担当者には休憩室がありましたが、パート社員にはなく、休憩時間も、これまでは洗い場の流しの脇の椅子に腰かけて過ごしていたとのことでした。

私は、課長に指示してパート社員用の休憩室を設置しました。

この件については、女性の係長の献身的な協力で何とか収めることができましたが、この件は一例に過ぎず、こうしたことが年に数回は発生していました。

部下と接する謙虚さと忍耐強さが管理者には必要

私は、会社から部下を任されるようになり、部下と共に仕事をしていく中で1つ分かったことがあります。それは、人は自己中心的であり、常に物事を自分の尺度で考え、判断するということです。

それは誰しも分かっているようで、なかなか客観的には捉えられてはいないようです。私にとってはどうでもよいことでも、部下にとっては非常に大切だったり、その逆のこともあり得ます。

しかし、自分にとってどうでもよいことを、他人が大切だと感じていても、だからといって、自分も心からそれを大切だと感じることは大変難しいことです。

このように、管理する側と部下との間には、理解し合えない部分が多少なりとも存在しているということを理解して、部下と接する謙虚さと忍耐強さが管理者には必要だと感じています。

私の体験談として、女性の多い職場を例にして、男性である私よりも、女性同士の方が、より理解を共有できる部分が広くなることを期待して、女性係長の協力を要請しましたが、ここで述べたようなことは男女間に限らず、全ての部下との間にも当てはまることだと私は思っています。