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伝説のホテリエに学ぶ組織改革の手法

伝説のホテリエに学ぶ組織改革の手法

投稿者
  2012年4月3日

ホテル

「ホテルマネジメント」という言葉に惹かれて、「和魂米才のホテルマネジメント」(近藤寛和著)という本を手にとった。読み始めると止まらなくなって、一気に読み通してしまった。

この本は、ホテルマネジメントについてのビジネス書というよりも、あるホテルのプロフェッショナル(ホテリエ)について書かれた物語である。その人の名は飯島幸親

帝国ホテルや札幌グランドホテルに勤めた後、27歳で渡米。センチュリー・プラザ・ホテルなどに勤めて、1974年、32歳でロサンジェルス・エアポート・マリオットに入社。マリオットホテルの独自のトレーニングの中で、マネジメント能力を身につけていく。

そして、優秀なマネージャに贈られる「マネージャ・オブ・ザ・イヤー」や、創設者の名前を冠した最優秀社員賞を受賞するような成果を上げるまでになる。

1997年、55歳の時に、マリオットの日本・アジア地区の最高責任者として、日本に帰国。担当地域のホテルの開業や運営指導に携わるようになる。運営指導の際、忙しい現場に入っていって手伝うこともした。その時のエピソード。(以下引用)

“あるとき、洗い場に飯島が入って皿洗いを手伝っていると、パートのおばさんたちはてっきり新しいパートのおじさんが雇われてきたと勘違いして気さくに話しかけ、どんどん仕事を振っていった。

そして「洗い場の水道の蛇口が一年以上も漏れているのに誰も何もしてくれない」などとこぼしていた。

新米のおじさんは終始笑顔で仕事を続けた。次の日、蛇口は新品に取り替えられていて、パートのおばさんは喜んだと同時に、首をかしげた。”

60歳のときにリタイアするが、2006年、請われて、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズに総支配人代行として着任。ここからは組織改革の物語となる。

現場に入り込んで、スタッフと密なコミュニケーションを図り、スタッフから得た信頼をベースに、マネジメントの再構築に取り組んでいく。

その手法は、数値化による定量的判断の徹底、情報開示による情報共有、すべての記録をドキュメントに残し着実に改善を積み重ねるなど極めて正統的なものである。

飯島氏に密着取材して、本書を執筆した著者も、次のように述べている。

“うまくいっていないホテルや企業は、得てして当たり前のことができていないのである。誤解を恐れずに言えば、飯島の伝えていることは当たり前のことであり、難しいことでもない。

ただ、当たり前のことを当たり前にできる仕組みを築いて、続けることは確かに簡単なことではないかもしれない。それはできるかできないかが、勝ち組と負け組の分かれ目なのであろう。”

ホテルに限らず、すべての業種、企業に当てはまることだと思う。

もう一つ、本書で特に印象に残ったのは、「何も手を打たないことが一番よくない」という飯島氏の言葉。

“結果、成功するかしないかやってみなければ分からないことでも、とにかくやってみる。やってだめだったらすぐに方向転換すればいい。もし失敗してもそれは経験やデータとして残るのだ。

「すべての問題は、新たな成長へのチャンスでありチャレンジである」”

組織改革、経営改革を目指すすべての人にとって、ヒントが数多く見つかる良書である。

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知的資産とキャッシュフローの両面から、企業のビジョン実現をサポートする中小企業診断士・認定キャッシュフローコーチ® https://www.officeair.net



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