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BSはどこを見ればいい?財務構造を改善するための着眼点は?わかりやすく解説

BSはどこを見ればいい?財務構造を改善するための着眼点は?わかりやすく解説

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  2020年9月21日

貸借対照表

PLは見るけど、BSはあまり見ない。見方がよくわからないから
という経営者さんは少なくないです。

そんな時はまず
現預金以外のBSの左側はキャッシュを減らすから、キャッシュ視点では悪者
とお伝えしています。

将来の売上につながらないような資産項目はできるだけ、ない方がいいのです。

BSはどこを見ればいいのか?
財務構造を改善するための着眼点は?
わかりやすく解説します。

(1) BS(貸借対照表)とは?

まず、BS(貸借対照表)とは何でしょうか?
BS(貸借対照表)とは、会社法で作成が定められた計算書類の一つです。

BSとは、英語で貸借対照表を表す「バランスシート」の略語です。
バランスシートとは残高表のことです。

会社法で作成が定められた計算書類には、他にPL(損益計算書)があります。

PLとは「プロフィット・アンド・ロス・ステートメント」の略語です。
一年間の売上から費用を差し引いて、いくら利益があったのかを示す書類がPLです。

PLを見ると、会計上の利益の金額がわかります

では、BSでは何がわかるのか?
BSを見ると、お金が増えた理由、減った理由がわかります

(2) BSの右側の項目はお金を増やす

BSはお金は増えた理由、減った理由がわかる書類です。
BSの右側の項目が増えるとお金は増え、右側の項目が減るとお金は減ります

単純な例でご説明します。

仕入販売の仕事をしているとします。一年間で、500万円分の商品を仕入れ、仕入れた商品を800万円で完売しました。代金もすべて受け取りました。

このときのPLは以下の通りです。

売上高 800万円
売上原価 500万円
売上総利益 300万円
営業利益 300万円
経常利益 300万円
法人税等 90万円
当期純利益 210万円

(話を単純化するために人件費等は省略しています)
この会社では、年度初めに預金口座にお金が300万円あったとします。
当期純利益210万円という上記の決算を迎えた年度末、お金が210万円増えて、510万円になっているのでしょうか?

答えは「必ずしもなっていない」、いえ、おそらく「なっていない」でしょう。
なぜ、なっていないのか?それがわかる計算書類がBSです。

BSは、年度末にお金などがいくらあったかを示す「残高帳」です。
残高帳なので、年度末のBSだけでは増減がわかりません。
増減を見るためには、年度初めと年度末を比較する必要があります。
年度初めのBSとは、つまり前期BSです。

この会社の前期BSと今期BSを並べてみると以下の通りでした。

前期BS(貸借対照表) 今期BS(貸借対照表)
現預金 300万円 借入金 200万円 現預金 400万円 未払法人税等 90万円
資本金 100万円 資本金 100万円
繰越利益剰余金 0万円 繰越利益剰余金 210万円
資産の部 300万円 負債・純資産の部 300万円 資産の部 400万円 負債・純資産の部 400万円

お金は、210万円増えて510万円になったのではなく、100万円だけ増えて400万円になっていることがわかりました。

どこでお金が増えて、どこでお金が減ったかを見るには、それぞれの項目の増減を見る必要があります。

それぞれの項目の増減に着目すると以下のように整理できます。

お金がいくら増減したのか お金が増減した理由
現預金 100万円 借入金 △200万円 借金を返済して200万円お金が減った
未払法人税等 90万円 法人税をまだ支払っていないので、90万円はまだある
繰越利益剰余金 210万円 利益でお金が210万円増えた
合計 100万円 合計 100万円

利益で210万円お金が増え、90万円の法人税はまだ支払いしていない。だから、お金は300万増える筈だけれど、そのうち200万円を借入の返済に充てたので、100万円お金が増えたということです。

まとめると
・借入金が減った     → お金が減った
・未払法人税等が増えた  → お金が増えた
・ 繰越利益剰余金が増えた → お金が増えた

資産の部 負債・純資産の部
現金↑ 負債が増える↑
純資産が増える↑

BSの右側の項目が増えるとお金が増え、右側の項目が減るとお金が減ることが確認できました。

このうち、未払法人税等は決算時点でまだ支払っていないというだけのことなので、納税後のお金の流れ全体を見ると以下のようになります。

売上高
800
変動費 500
利益 300 法人税等 90
税引後利益
210
返済 200
繰越金 10

では、BSの左側の項目はどうでしょうか。

(3) 現預金以外のBSの左側の項目はお金を減らす

結論から言うと、現預金以外のBSの左側の項目はお金を減らします
単純な例でご説明します。

仕入販売をしているとします。商品を200万円分仕入れて、そのうちの半数を200万円で販売しました。まだ代金回収できていません。(今回は決算前とします)

このときのPLは以下の通りです。

売上高 200万円
売上原価 100万円
売上総利益 100万円
営業利益 100万円
経常利益 100万円

BSは以下の通りだったとします。

前期.BS(貸借対照表) 今期.BS(貸借対照表)
現預金 300万円 借入金 200万円 現預金 50万円 借入金 200万円
資本金 100万円 売掛金 200万円 資本金 100万円
繰越利益剰余金 0万円 商品 100万円 繰越利益剰余金 100万円
器具備品 50万円
資産の部 300万円 負債・純資産の部 300万円 資産の部 400万円 負債・純資産の部 400万円

利益が100万円あるはずなのに、お金が減って50万円になっています。
それぞれの項目の増減に着目して整理すると以下のようになります。

お金がいくら増減したのか お金が増減した理由
現預金 △250万円 売掛金の増加 △200万円 売掛金が200万円増えて、その分お金が減った
商品の増加 △100万円 商品在庫が100万円増えて、その分お金が減った
器具備品の増加 △50万円 器具備品を50万円買った分、お金が減った
繰越利益剰余金 100万円 利益でお金が100万円増えた
合計 △250万円 合計 △250万円

利益で100万円お金が増えた筈だけれど、その代金はまだ回収していないので、その代金の200万円は手元にない。仕入れて在庫になっている商品代100万円分もお金は減っている。他には、器具備品を購入した代金50万円が減っている。トータルでお金は、250万円減っているということです。

まとめると
・売掛金が増えた  → お金が減った
・商品在庫が増えた → お金が減った
・器具備品が増えた → お金が減った

資産の部 負債・純資産の部
現金↓ 負債の部
資産が増える↑ 純資産の部

現預金以外のBSの左側の項目が増えるとお金が減ることが確認できました。
(逆に 現預金以外のBSの左側の項目が減るとお金は増えます)

お金の流れ全体を見ると以下のようになります。

売上高
200
変動費 100
利益 100 運転資金 300

△250
設備投資 50

売掛金や商品などの運転資金でお金が減ったことが図からも確認できます。

(売上が伸びると、必要な運転資金が増えます。これを「増加運転資金」と言います。
これは前向きな資金なので融資はしてもらいやすいです)

(4) BSはどこを見ればいい?

ここまでをまとめると、要点は以下の3点です。
① 前期BSと今期BSがあれば、お金の増減とその要因がわかる。
② BSの右側の項目はお金を増やす。
③ 現預金以外のBSの左側の項目はお金を減らす。

ここまでを踏まえて、BSでまず見ていただきたいのは現預金の増減です。

お金が増えているのか、減っているのか、
どこで増えているのか、どこで減っているのかです。

理由は、企業を守ってくれるのは現預金だからです。

① 現預金の増減を確認する

まず、お金の増減の金額自体は、前期の現預金と今期の現預金の差額を計算することで把握できます。

お金の増減額(=年間キャッシュフロー)=当期の現預金-前期の現預金

(お金の増減のことを一般に「キャッシュフロー」と言います。「お金のブロックパズル」では「繰越金」と言っています)

次にお金の増減の要因を考えます。どこでお金が増え、どこでお金が減ったかです。
お金の増減の要因は、BSの個々の項目の増減を計算すればわかります。
ただし、ざっくり把握するには、もっと簡単な方法があります。

② 営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローとは

お金の増減の要因を大きく分けると3種類に分けられます。以下の3種類です。

① 本業でのお金の増減(営業キャッシュフロー)
② 設備投資などによるお金の増減(投資キャッシュフロー)
③ 借入や返済などによるお金の増減(財務キャッシュフロー)

営業キャッシュフローは、本業でのお金の増減なので、本業キャッシュフローということもあります。

営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローを合計するとお金の増減と一致します。

このうち、投資に使ったお金、借りたお金、返済したお金は比較的、把握しやすいはずです。

そこで、営業CF =お金の増減-投資CF-財務CF

上記のように計算すると、どこでお金が増えたか減ったかは把握しやすいです。
営業キャッシュフローの明細については、営業キャッシュフローが大きく減っているときに内訳を把握すれば十分です。

営業キャッシュフローの主な内訳としては
・当期純利益
・減価償却費
・売掛金・受取手形・未収金等の増減
・在庫の増減
・買掛金・支払手形・未払金等の増減
などがあります。

いつまで経っても回収できない不良債権、いつまで経っても販売できない不良在庫などは、企業の財務内容と資金繰りを悪化させます。

では、財務構造をよくするためにできることには何があるでしょうか。

貸借対照表

(5) 財務構造を改善するための着眼点は?

まず、前提として、どのようなBSであれば、財務構造がよいと言えるかというと
・現預金が潤沢にある。
・純資産が充実している。

そのような財務構造が望ましいです。
理由は、現預金が潤沢で、純資産が充実していると、
・資金ショートリスクが少ない。
・資金調達がしやすい。
・必要な投資をタイムリーにしやすい。

からです。

企業は、資金調達し、調達した資金を事業に投下して利益を得ることで成長します

「現預金が潤沢」とは、具体的にいくらかというと、業種にもよりますが、 少なくとも月商1.5倍以上が望ましいです。もっと正確に考えるときは、財務的な安全性を確保するには、固定費と借入金の返済の何か月分を保有している必要があるかを考えて、現預金の保有水準を検討します。

純資産については、一つの目安として、自己資本比率30%以上が望ましいです。

財務構造改善の着眼点の一つ目は、お金を増やす。純資産を充実させる、です。

① 現預金を増やす。純資産を充実させる。

では、具体的にどのように取り組むのか。これについては、BSの3つの区分に着目して考えます。3つの区分とは、資産と負債と純資産です。

資産については、お金を減らすので、可能であれば減らします。換金化です
具体的には
・売掛金の早期回収
・在庫処分(特に不良在庫・滞留在庫)
・貸付金の回収
・使っていない設備などの売却
・節税目的の保険の解約
などです。

簿価よりも低い価格でしか売れず、売却損が出たとしても、それはそれで節税になります
(多額の損失の場合は、特別損失での計上を検討します)

負債については、年間キャッシュフローで返済できることが望ましいです。
理由は、資金繰りを悪化させないためです。

特に、設備資金は償却期間に合わせた借入期間とすることが重要です。
純資産については、利益創出と増資が財務構造の改善につながります。

他の着眼点としては、BSに不要な贅肉をつけない、です。

② BSに不要な贅肉をつけない

「BSの資産の部って『会社の財産』なんですよね?」 と聞かれたことがあります。
「資産」という言葉の響きからは確かに「財産」のような印象をつけます。
また、実際に財産も含まれています。
ただし、「資産の部」 のすべてが価値ある「財産」とは限りません。

BSの「資産の部」 にあるモノは、実際には次の3つです。

① いずれ現金になる商品や売掛金
② 次の売上を生み出す設備など
③ そのどちらでもないもの

③の「どちらでもないもの」とは、たとえば
・不良在庫
・不良債権
・役員貸付金

・関連会社貸付金
・とりあえず資産計上した仮払金

などです。換金もできず、次の売上にもつながらないものです。
こうした項目の金額が多い会社は、苦労して稼いだお金を入れた貯金箱に穴が開いているようなものです。

また金融機関からの評価を下げることにもつながります。
資産の部にこうした不要な贅肉をつけないようにしたいものです。そのためには

・与信管理の徹底
・在庫管理で適正在庫を保有
・仮払金は早期に確定
・公私混同しない
・節税にこだわりすぎない
・投機的な投資商品に手を出さない
・タイムリーな会計処理

などの取り組みが必要でしょう。

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キャッシュフロー経営

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この記事を書いた人

キャッシュフローコーチ®。経営数字と理念の専門家として、経営数字の見える化による意志決定支援と、社員が自律的に動き、成果が生まれるしくみ作りに取り組んでいる。 https://www.officeair.net



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