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スモールM&Aとは。事業承継で注目されるスモールM&Aの3つのメリットとは

スモールM&Aとは。事業承継で注目されるスモールM&Aの3つのメリットとは

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  2018年2月24日

握手

スモールM&Aをご存知でしょうか。
スモールM&Aとは中小企業のM&Aのことです。
スモールM&Aについてわかりやすく解説します。

1.M&Aとは

まずは、M&Aとは何かについて確認しておきます。

M&A(エムアンドエー: Merger and Acquisition)を直訳すると、合併と買収です。企業と企業が合併したり、企業が別の企業を買収することをM&Aと言います。

同じ業種の二つの企業が合併することで、企業規模が大きくなります。

企業規模を大きくすることで、経営基盤を安定させたり、競争力を高める目的などで行われています。製薬会社や金融機関などにその例がありますね。

製薬会社の例:
・2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して、アステラス製薬が発足。

金融機関の例:
・三菱銀行と東京銀行が合併してできた東京三菱銀行と、
三和銀行と東海銀行が合併して誕生したUFJ銀行が
2006年に合併して、三菱東京UFJ銀行が発足。(2018年4月1日に三菱UFJ銀行に名称変更)

買収で有名な会社は日本電産です。日本電産は、1984年から2017年の34年間に57社を買収し、いずれの買収も成功させていることで有名です。

日本電産の主力事業はモーターです。ところが、買収先は必ずしもモーターの会社ではありません。

日本電産は、モーター周辺領域で技術力のある企業などを買収し、自社技術と買収先の技術を組み合わせて、新規需要を開拓するという戦略をとっています。

自社で研究開発して、新規事業を育成するには時間がかかります。

日本電産では、主力事業の周辺領域で技術力のある企業や販路を持つ企業を買収することで、事業領域を拡大し、企業成長を図っているわけですね。

この場合、スピーディな事業領域の拡大がM&Aの目的ということになります。日本電産ではこのことを「時間を買う」という言い方をしています。

2.スモールM&Aとは

では、スモールとは何でしょうか?

スモールとは中小企業のことです。中小企業のM&AのことをスモールM&Aと言っています。具体的には売買価格1億円以下のイメージです。

具体的な手法としては、株式譲渡(会社をまるごと買収する)や事業譲渡(特定の事業を買収する)などがあります。

同業種の合併の目的が主に企業規模の拡大による経営基盤の安定化や競争力の強化であることを先に説明しました。買収は、事業領域の拡大や多角化などの目的で行われていることを説明しました。

中小企業の場合は、それ以外にM&Aの大きなメリットがあります。
それは、後継者不在の問題の解決策になるということです。

後継者不在の問題について、経済産業省が2017年10月に発表した資料では、以下のように説明しています。

・今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の約3割)が後継者未定。
・現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、 約22兆円のGDPが失われる可能性。
・今後10年の集中的な取組が必要。

(経済産業省「中小企業・小規模事業者の 生産性向上について」(平成29年10月)から引用)

経済産業省資料

経済産業省「中小企業・小規模事業者の 生産性向上について」(平成29年10月)

上記の問題認識をもとに国は、事業承継税制の強化など、事業承継の円滑な促進を推進していく方針ののようです。

この後継者不在による廃業の問題を解決する方策として、注目されているのがスモールM&Aです。

3.スモールM&Aの3つのメリットとは

スモールM&Aには以下の3つのメリットがあります。

スモールM&Aの3つのメリット

1.後継者不在の企業が廃業せずに済む。それにより雇用が守られる
(取引先にとっても仕入先や販売先を失わずに済む)

2.経営者は引退時に現金を得ることができる。
(キャピタルゲインの獲得して引退できる)

3.買収先は、製造設備や製造技術、ノウハウ、顧客基盤をもつ企業を買収することで、
自社単体で行うことと比較して時間をかけずに、新規事業立ち上げやエリア拡大など
を行うことができる

2016年2月に放映されたNHKのクローズアップ現代「黒字企業が消えていく ~自主廃業3万社の衝撃~」という特集では、後継者不在で廃業したチョークの会社が、独自に改良した配合ノウハウを韓国の企業に売却した話が紹介されていました。

スモールM&Aには、国内技術の国外への流出を防ぐ意味もあると言えそうです。

4.赤字決算でもスモールM&Aが可能な理由とは

NHKのクローズアップ現代の特集番組のタイトルは「黒字企業が消えていく」でしたが、スモールM&Aで売買されているのは、黒字企業とは限りません。

赤字決算でも技術やノウハウに何らかの強みがあったり、販路や顧客基盤を持つ企業などは買い手がつくのです。

なぜかというと、そのような企業は、たとえば、営業力の不足などの理由で赤字になっているだけで、不足している営業力などを強化すれば、黒字化が可能だからです。

何もない状態から一から事業を立ち上げるには時間がかかります。ノウハウがないので、試行錯誤も必要です。現にある事業を改善する方が早くに収益化が見込めるのです。

事業領域を拡大したい企業、新規事業を立ち上げたい企業、エリアを拡大したい企業、リスクを抑えて起業したい人にとって、スモールM&Aは魅力的な選択肢です。

実際にスモールM&Aを行った企業の経営者は、スモールM&Aを企業成長の選択肢の一つと捉えておられます。

しばらく前にお会いした鉄工所の経営者の方は、かねてより知り合いであった同業の会社を買収されました。もちろん、事業継続と雇用を守るための友好的な買収です。

その経営者の方は、今後も同様の鉄工所の買収をしたいという意欲をお持ちのようでした。実際に買収した人は買収に魅力を感じているのです。

ただし、どの会社が技術やノウハウに強みがあるのか。販路や顧客基盤を持つのかなどは通常、外部からはわかりにくいことがスモールM&Aにおいて一つの障害となっています。

手帳

5.スモールM&Aにおける知的資産経営報告書の活用

こうした状況にあって、スモールM&A成立に有効なツールが知的資産経営報告書です。知的資産経営報告書には、決算書に記載されない企業の強みや特徴を整理して記載します。

売却側企業としては、知的資産経営報告書を活用することで、仮に赤字であっても、技術やノウハウに強みがあることをアピールできます。

買収側としても、その企業の強みや特徴が理解できるので、企業価値を正しく認識することができるのです。

知的資産経営報告書は、スモールM&Aにおいて、決算書だけでは見えない強みや特徴を売却側と買収側が共有できるツールなのです。

すでに知的資産経営報告書を作成されている企業は、今すぐに会社の売却を考えていないとしても、一度、自社の市場価値の算定に知的資産経営報告書を活用してみてもいいかもしれません。

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この記事を書いた人

キャッシュフローコーチ®。経営数字と理念の専門家として、経営数字の見える化による意志決定支援と、社員が自律的に動き、成果が生まれるしくみ作りに取り組んでいる。 https://www.officeair.net



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