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ビジョンとは。ミッションとは。バリューとは。経営理念とは。わかりやすく解説

ビジョンとは。ミッションとは。バリューとは。経営理念とは。わかりやすく解説

投稿者
  2018年3月11日

ビジョン・ミッション・バリュー

ビジョンとは何でしょうか。ミッション、バリューとは何でしょうか。
経営理念と経営ビジョンはどう違うのでしょうか。

わかりやすく解説します。

1.ビジョンとは。ミッションとは。バリューとは

ビジョン(vision)、ミッション(mission)、バリュー(value)について一言で説明すると以下のようになります。

ビジョン(vision)とは、実現を目指す、将来のありたい姿のことです。
ミッション(mission)とは、企業が果たすべき使命であり、存在意義です。
バリュー(value)とは、組織の共通の価値観です。

イメージしやすいように、わかりやすい例を考えると、たとえば以下のような感じです。
(説明用の架空の企業です)
ビジョン・ミッション・バリューの一例

ビジョン・ミッション・バリュー(例)

・ビジョン(Vision): 業界No1になる!
・ミッション(Mission): お客様に最高品質の商品をお届けする。
・バリュー(Values): ・お客様を大事にする。
・常にベストを尽くす。

次は実在の企業の例です。無印良品を展開する良品計画の例です。ただし、同社では、ビジョンを目標、ミッションを理想、バリューを価値観と表現しています。
ビジョン・ミッション・バリューの一例

ビジョン・ミッション・バリュー(良品計画の例)

・ビジョン(Vision)

良品計画で働く仲間の永続的な幸せを第一の目標とし、世界レベルの高収益企業となることを目指す。

・ミッション(Mission)

「わけ」を持った良品によって、お客様に理性的な満足感と、簡素の中にある美意識や豊かさを感じていただく

・バリュー(Values)

・誠実で正直であること
・仲間を大切にし信頼を深めること
・ひとりひとりが地球大の発想で考え、挑戦し、やり抜くこと

※ビジョン、ミッション、バリュー、経営理念の他の事例については以下の記事でご紹介しています。

ビジョン、ミッション、バリューについてもう少し詳しく説明します。

(1)ビジョン(vison)とは

ビジョンとは、実現を目指す、将来のありたい姿のことです。例では「業界No1になる!」としました。「業界No1になる!」は、企業の業界内でのポジショニングを表しています。

他の例としては、「従業員満足度100%」のような組織のあり方をビジョンに掲げてもいいですし、「働きやすい社会をつくる」のような社会貢献的なビジョンもありえます。

ビジョンの語源は「見ること」です。つまり、ビジョンとは、意志ある、将来の見通しです。

ビジョン

ここでいう将来とは、経営における意志ある、将来の見通しですから、経営ビジョンとも言います。(経営ミッションや経営バリューという言葉はありません。経営理念という言葉がもともとあるためでしょう)

(2)ミッション(mission)とは

ミッションとは、任務のことです。(映画の「ミッション・インポッシブル」のタイトルの意味は、「手に負えない任務」です)

ミッションは、企業が果たすべき使命であり、存在意義です。例では「お客様に最高品質の商品をお届けする」としました。

自社は何のために存在するのか。誰にどのような価値を提供する存在なのかをはっきりさせると、ミッションを考えやすいでしょう。

ミッションは企業活動の原動力となるものです。

マーケティングに「顧客提供価値」という概念があります。「顧客提供価値」を突きつめると、ミッションに行きつくことが多いです。

(3)バリュー(values)とは

バリュー

バリューの意味は価値観、価値基準です。ここでいう、バリューとは、組織共通の価値観です。例では、

・お客様を大事にする
・常にベストを尽くす

の2点としました。バリューだけ複数形です。バリューは価値観なので、複数あっていいのです。なので、バリューは複数形なのです。

2.経営理念・企業理念とは。行動指針とは

ビジョン、ミッション、バリューによく似た概念として、経営理念や行動指針という言葉もあります。これらはどのような意味でしょうか。

(1)経営理念とは。企業理念とは

経営理念とは、経営者が大事にしている考え方のことです。社長がよく言う言葉だと考えるとわかりやすいでしょう。

社長が「お客様を大事にしなさい」
といつも言っているのであれば、「お客様を大事にする」が経営理念です。

社長が「常にベストを尽くしなさい」
といつも言っているのであれば、「常にベストを尽くす」が経営理念です。

あれっ?さっき同じような話をしましたね。

そうです。経営理念の例は、「バリュー」の例と同じなのです。なぜなら、経営者の価値観が社内に浸透して、組織共通の価値観となったものが「バリュー」だからです。

あるいは、社長がいつも言うことが「当社は、お客様には最高品質の商品をお届けするのだ」という場合もあるかもしれません。これは「ミッション」の例でしたね。

社長が使命感を持って行っていることは、社長が大事にしている考え方なので、経営理念です。そして、それが社内に浸透した場合に、企業の「ミッション」となるのです。

経営理念は、経営者が大事にしている考え方であるのに対して、企業として大事にしている考え方のことを企業理念と言います。

・経営理念:経営者が大事にしている考え方
・企業理念:企業として大事にしている考え方

経営理念や企業理念は、ミッション型の場合とバリュー型の場合があります。

経営理念、企業理念の中で、ミッションとバリューそれぞれ個別に明文化しているケースもあります。(ビジョンとは。ミッションとは。バリューとは。経営理念とは。事例で解説で紹介するファーストリテイリングなどです)

経営理念、企業理念には、社是、社訓、クレドなど類似の概念の言葉がいくつかあります。

語源などが異なるものの、いずれもミッション(使命)やバリュー(基本的な価値観)、あるいは次に説明する行動指針(行動規範)を表しています。

社是・社訓・クレド

・社是: 会社としての基本的な考え方
・社訓: 社員として守るべき行動規範
・クレド: 企業の信条・価値観・行動規範

コーポレートスローガン・コーポレートステートメント・コーポレートメッセージ

・コーポレートスローガン: 企業としての基本的な考え方・方針
・コーポレートステートメント: 企業としての声明文(理念や使命など)
・コーポレートメッセージ: 企業の対外的なメッセージ(理念や使命など)

コーポレートスローガン、コーポレートステートメント、コーポレートメッセージは、経営理念・企業理念よりも対外的な情報発信に重きをおいていますが、内容的には、類似の概念と言えます。

(日本キャッシュフローコーチ協会では、企業理念のことを「カンパニースピリッツ」と言っています)

(2)行動指針とは

では、行動指針とは何でしょうか。

行動指針は、経営理念または企業理念を具体的に行動に落とし込んだものです。たとえば、以下のような感じです。

経営理念・企業理念 行動指針
・お客様を大事にする ・約束した納期を守る。
・誠意をもって対応する。
・常にベストを尽くす ・仕事は常に時間厳守。
・スピード対応を心がける。
・常に改善策を考える。

やや抽象的な経営理念・企業理念を具体的な行動指針に落とし込みすることで、どのように行動すべきかが社員により理解しやすくなります。

行動指針のことを行動規範という場合もあります。

ビジョン、ミッション、バリュー、経営理念、企業理念、行動指針についてまとめると、この中でビジョンのみが「将来」の話です。
ビジョン・ミッション・バリュー・経営理念・企業理念・行動指針・行動規範

過去-現在 将来
【統括的】経営理念・企業理念

【具体的】行動指針・行動規範
ミッション(使命・存在意義) 経営ビジョン
(将来のありたい姿)
バリュー (価値観・価値基準)

まとめると、組織の使命・存在意義がミッション、組織の価値観がバリューです。経営理念には、ミッション型、バリュー型があり、より具体化したものが行動指針です。

経営ビジョンのみ将来の話ですが、どのような将来を志向するかは、当然、組織のミッションや組織の価値観と関わりがあります。

経営ビジョンには、ミッション起点のビジョン、バリュー起点のビジョンなどがあります。

3.ビジョン・ミッション・バリューが重要な理由

ビジョン、ミッション、バリューはなぜ企業に必要なんでしょうか。

人はお金だけで動くわけではありません。

松下幸之助さんの有名な話に、水道哲学という話があります。

ある夏の暑い日に、他人家の庭の水道の水を勝手に飲む男を見かけた松下幸之助さんは、
「水はたくさんあるから安い。だから勝手に飲んでも咎められない」と考え、
「たくさんあるものは安くなる」ということに気づきます。

水

そして、
「家電製品をたくさん作って、安く提供し、人々の生活を便利にすることに貢献しよう」
と考えて、社員にもそう話します。

その考えに共鳴し、
「自分たちの仕事は単なる金儲けではない。人々の生活に貢献する仕事なのだ」
と考えた社員たちのモチベーションが後の松下電器産業の発展を下支えしたというお話です。

松下幸之助さんの水道哲学は、自分たちの事業の存在意義を表していますから、「ミッション」ですね。

ビジョン、ミッション、バリューの中でも、社員のモチベーションという意味でもっとも重要であるのは、ビジョンです。

ビジョンは企業が目指す将来像です。

自分たちがどこへ行こうとしているのかがわからないと、モチベーションを上げて仕事に取り組むことは難しいでしょう。
モチベーション
明確なビジョンは、社内の求心力を高め、ベクトルを揃える効果があります。

また、ビジョンの実現に向かうための原動力がミッション(またはバリュー)、ビジョン実現のための方策が戦略(ストラテジー)となります。

ミッション・ストラテジー・ビジョン

・自分たちはどこへ行こうとしているのか→ ビジョン
・なぜ行くのか→ ミッション(またはバリュー)
・どうやっていくのか。行き方→ 戦略(ストラテジー)

なお、戦略(ストラテジー)とは、どのように組織を成長させるか・どのように経営ビジョンを実現するかについての基本的な方針・プランです。

戦略(ストラテジー)を具体策に落とし込んだものが戦術(タクティクス)です。

用語 意味
戦略(strategy) 目標達成のために何に取り組むか(基本的な方針・プラン)
戦術(tactics) 戦略で決定した取組事項をどのように実行するか(具体策)

4.ビジョン-ミッション-バリューか。経営ビジョン-経営理念か

この記事を読まれている経営者の中には、自社の経営理念を

経営ビジョン-経営理念 という構成にするか
ビジョン-ミッション-バリュー という構成にするか

について、迷われている方がおられるかもしれません。これについては、明確なミッションの有無で決めるのが一つの方法です。

なぜなら、

・経営ビジョン= ビジョン
・経営理念  = バリュー(またはミッション)

であり、両者の違いはミッションの有無だからです。

バリュー(価値観・価値基準)については、すべての経営者が何かしらの考え方を持っておられますが、ミッション(使命・存在意義)については明確でない企業も多いです。

特に中小企業などで、親の会社を継承した場合などに、自社のミッションについて明確でないことがあります。

そしてそれは特に恥ずかしいことでもなんでもありません。

経営理念を新たに策定する場合、自分の中にミッションが明確にあるという場合には、
ビジョン-ミッション-バリューという構成で考えればいいでしょう。

ミッションが特に明確でないのであれば、無理にミッションを考える必要はありません。

ミッションは、自分たちの存在意義であり、ビジョン実現に向けての原動力ともなるものです。

経営者が本当に思っていることでなければ、ビジョン実現の原動力とはなりません。無理矢理に作り出すようなものではないのです。

現時点でミッションが明確でない場合は、まずは、経営ビジョンと経営理念を明文化し、その後、ミッションが明確になった時点で、ミッションを追加する方法でも特に問題はないでしょう。

※なお、ビジョン、ミッション、バリュー、経営理念の具体的な事例については以下の記事をご参照ください。

※理念の浸透については以下の記事をご参照ください。

※顧客提供価値の詳しい説明については以下の記事をご参照ください。

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この記事を書いた人

キャッシュフローコーチ®。経営数字と理念の専門家として、経営数字の見える化による意志決定支援と、社員が自律的に動き、成果が生まれるしくみ作りに取り組んでいる。 https://www.officeair.net



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