利益はイメージできるけれど、キャッシュフローとは何か、イメージしにくい人も多いのではないでしょうか。キャッシュフローとは何か。キャッシュフローはなぜ重要な理由なのかについて、わかりやすく解説します。
1.キャッシュフローとは
「キャッシュ」とは、手許の現金のほか、普通預金、当座預金などのことです。「フロー」とは流れのことです。
企業活動を行うと、お金の出入りが発生します。
商品を仕入れると、仕入代金の支払いが必要になります。
仕入れた商品を販売して、販売代金をいただくと企業にお金が入ります。
その他には事務所の家賃や水道光熱費の支払い、従業員の給与の支払いなども必要でしょう。
企業にお金が入ってくることを「キャッシュイン」、
企業からお金が出ていくことを「キャッシュアウト」
と言います。
キャッシュインからキャッシュアウトを差し引いた収支がキャッシュフローです。
つまり、「キャッシュフロー」とは現金の出入りのことを言います。
キャッシュフローがプラスのときは、企業のお金は増えています。
キャッシュフローがマイナスのときは、企業のお金は減っています。
つまり「持ち出し」の状態ということです。
赤字でもすぐに倒産するわけではありませんが、企業からお金がなくなって支払いができなくなると企業は倒産します。
だから、企業にお金がなくならないようにキャッシュフローをよく把握しておくことが重要なのです。
2.利益とキャッシュフローはどう違う?
利益は、売上から費用を引いて計算します。
100円で仕入れた商品を180円で売るとします。利益は80円です。
八百屋さんなどの小売店や、ラーメン屋さんなどの飲食店などは現金商売ですが、企業間取引ではほとんどの場合、現金商売ではありません。
現金商売以外の多くの企業では、売上と売上代金の回収には時間差があります。
商品を納品した月末などに請求書を発行し、翌月末などに売上代金を払ってもらうなどしています。
このとき、仕入代金を先に支払っている場合は、利益としては黒字ですが、キャッシュフローとしては、仕入代金の支払いだけをしていて、売上代金をいただいていないので、マイナスとなります。
・キャッシュフロー:▲100円
会計上の利益とキャッシュフローは必ずしも一致しないのです。
3.キャッシュフローを把握する簡単な方法は?
キャッシュフローを把握する一番簡単な方法は、キャッシュの増減を見ることです。
・年間のキャッシュフロー = 当期末キャッシュ - 前期末キャッシュ
キャッシュは、貸借対照表の資産の部の一番上に「現金及び預金」という項目名で表示されています。
二期分の貸借対照表(月間キャッシュフローの場合は、二か月分の試算表)があれば、簡単にその期間のキャッシュフローを把握することができます。
4.利益は出ているのにキャッシュフローはマイナス。なぜ?
利益が出ていてもキャッシュフローがマイナスになる場合があります。
たとえば、仕入代金を払ってから、販売代金をいただくまでに期間が長い場合です。
仕入代金100万円を支払った二か月後に、販売代金180万円が入金されるとします。
二か月間、企業は100万円を立て替えしている状態です。
このようなときに、商品の評判がよく売上が二倍になったとします。
この企業は仕入代金200万円を支払った二か月後に、販売代金360万円を受け取ることになります。
立て替えする代金が100万円から200万円に増えますので、キャッシュフローはマイナスになります。
このように仕入代金を払った後に売上代金が入金される企業で、売上が増加するとキャッシュフローはマイナスになります。
ほかには、たくさん商品を仕入れたのに、一部しか売れなかったときもキャッシュフローはマイナスになります。たとえ、売上の総額は上がっていてもです。
企業を運営するのに必要な資金を運転資金と言います。以下の式で計算できます。
売上債権とは、販売後、まだ入金されていない金額のことです。
棚卸資産とは、商品の在庫金額です。
仕入債務とは、仕入して、また支払いしていない金額のことです。
つまり
・棚卸資産が増えたとき
・仕入債務が減ったとき
にキャッシュフローはマイナスとなります。
キャッシュフローをプラスにするには
・仕入後の販売を早くして在庫を増やさないようにする
・可能な場合は、支払いを遅くする
ことが必要ということです。
所要運転資金の増加以外に、キャッシュフローが悪化する要因としては、たとえば
・お金を生まないことへの出費(関係会社への貸付など)
なども考えられます。
この記事のまとめ ・「キャッシュフロー」とは現金の出入りのこと。 |
※キャッシュフロー経営、キャッシュフロー経営の指標については以下の記事をご参照ください。