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知的資産経営報告書の4つの活用方法とは

知的資産経営報告書の4つの活用方法とは

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  2018年2月10日

活用

知的資産経営とは、自社の独自の強みに注目して業績向上を図る経営手法です。

知的資産経営では、自社の価値や取り組みをまとめた「知的資産経営報告書」を作成します。この「知的資産経営報告書」の有効な活用方法について説明します。

主に以下の4つの活用方法があります。

1.営業ツール・企業価値向上ツールとして活用する

自社の価値や取り組みを伝えることで、営業ツールや企業ブランド向上ツールとする活用方法です。主に次の7つの伝え先があります。

① 顧客: 新規顧客獲得や既存顧客との信頼関係強化に活用する。
② 金融機関 : 融資相談の際に活用する。
③ 行政: 補助金申請の添付資料などに活用する。
④ 社員: 社員教育資料や採用予定者への説明資料として活用する。
⑤ 取引先: 自社の価値観や取り組み内容を共有する資料として活用する。
⑥ メディア : 自社の説明資料として活用する。
⑦ 株主・投資家: 経営ビジョンの説明資料として活用する。

上記の他には、M&Aの際に自社の事業性を説明する資料としても活用可能です。

2.経営戦略・事業計画として活用する

「知的資産経営報告書」で描く将来の価値創造プロセスは、実は経営戦略そのものです。

そもそも経営戦略とは何かですが、一言で言うと、「価値ある独自性の追求」でお客さまから選ばれる、その方策を明らかにすることです。

他社と横並びの事業ではなく、他では提供できない価値をお客様に届けることで、お客様から選ばれる。それが収益力の源泉になります。

また、事業計画については、単に数値だけが並んだ事業計画ではなく、社員の方々の腑に落ちる事業計画である点、つまり、「なぜ、それをしないといけないか」という根本が社内共有できる事業計画であることが知的資産経営報告書のメリットです。

経営戦略としての「知的資産経営報告書」の実効性を高めるために必要なこと

その経営戦略の実現において、必要なのが、知的資産を活用・強化・育成するという視点です。

知的資産を活用・強化・育成して、顧客提供価値を高め、結果として売上や利益を上げていくという考え方です。

向上させようとすると、今がどれくらいのレベルで、今後、どれくらいのレベルを目指すのかをはっきりさせないと組織として取り組むことができません。

そのために、一つ一つの知的資産や取り組みを定量的に把握できるモノサシが必要になってきます。具体的には、知的資産や取り組みについて評価指標を設定します。

この評価指標のことをKPIと言います。

KGIとKPI

数値指標には二種類あります。KGIとKPIです。

・KGI: Key Goal Indicator
・KPI: Key Performance Indicator

KGIの真ん中の“G”はゴールです。KGIはゴールの指標、つまり成果指標です。営利企業の場合、KGIは売上や利益であることが多いと思います。

KGIはゴール指標ですが、同時に結果の数値でもあります。直接のコントロールが難しいです。

企業はたとえば売上を上げたい場合、何らかの対応策を実施しているはずです。営業訪問件数を増やすとか、新商品開発数を増やすなどです。

このようなKGIの達成につながる、一歩手前の数値をKPIと言っています。成果につながる管理可能な行動目標です。

たとえば、あるスクールでは、体験セミナーの参加数とスクール申込数との間に強い相関関係があることがわかりました。そうすると、体験セミナーの参加数を増やす努力をすると、顧客数が増加することになります。この場合に、体験セミナー開催回数をKPI、スクール申込数をKGIと考えることができます。

KGIとKPIはビジネスだけで使える概念ではなく、日々の生活でも応用可能です。

体重を落としたいとき、直接、体内から脂肪を取り出すことはできないですよね?体重を落とすためにたとえば運動を始めるかもしれません。このときには、体重がKGI(ゴール指標であると同時に結果指標)、運動回数がKPI(管理可能な行動目標)になります。

知的資産経営の本質は、自分たちの意志で、将来の価値を作り出していくことです。そのためにKPI(管理可能な行動目標)を設定して実践していくことが必要になります。

なお、数値化の意味を確認しておきますと、数値化することで

・事実の把握ができる。客観的な評価ができる。
・他社との比較ができる。時系列での比較ができる。
・目標を設定した時に達成度、進捗度の評価ができる。
・結果的に意志決定しやすくなる。

などの効果があります。マネジメントツールとして知的資産経営に取り組む場合は必ず数値化を行います。数値化することで、経営品質向上の取り組みが行うことが可能になります。

3.組織活性化・社員教育ツールとして活用する

知的資産経営の取り組みにおいて、社内で対話をすることで、組織活性化を促す効果が期待できます。また、社員に主体的に考えてもらうことで、社員教育ツールとしての活用も可能です。

※組織活性化・社員教育ツールとしての活用については以下の記事を参照ください。

4.事業承継ツールとして活用する

事業承継の問題は、日本の中小企業に共通の大きな課題です。この10年で、国内の中小企業は420万社から380万社への約1割の減少がありました。

また、経営者の年齢の中央値は、20年で、47歳から66歳へと年齢が上がっています。つまり事業承継が遅々として進んでいないということです。

経営者が60代の企業のうち、後継者が決まっていない企業が約3割。後継者を決めていても、後継者にしっかり話をしていない経営者が約2割あるそうです。

では、この事業承継、どのように取り組めばいいのかですが、そもそも何を継承したら、事業承継できたと言えるのか。

会社には、株式とか社屋とか機械設備のような資産があります。従業員さんもいらっしゃいます。そのような資産、また従業員を引き継げば、次の日から後継者の方、経営ができるかというと、おそらくそんな簡単ではないと思われます。

経営資源と言われる、ヒト・モノ・カネの周りにあって、ヒト・モノ・カネをうまく有機的にまわしていくための、目に見えないノウハウ、これが実は一番重要だったりします。これが知的資産です。

知的資産とは、その会社の独自のノウハウの集合体です。ですので、知的資産経営の取り組みで、独自のノウハウを見える化し共有することは事業承継の観点でもとても有効です。

黒字企業であっても自主廃業する企業が多いのはなぜか?

以前にあるテレビ番組で、「黒字企業であっても自主廃業する企業が多いのはなぜか?」という特集番組が放映されているのを見たことがあります。

番組の中で、工夫を重ねて特徴ある事業展開をしていたにも関わらず、後継者不在のために廃業した、ある会社が紹介されていました。

その会社の経営者は、M&A等も検討しましたが、多額の費用がかかると聞き、会社に資金があるうちに従業員に退職金を渡して、廃業することを決意します。

事業のノウハウについては海外の会社に売却しました。ところが、廃業後にこの会社には「事業を引き継ぎたい」という申出が相次ぎ、経営者はショックを受けます。

実は、この会社のノウハウは、社外からは高く評価されていたのでした。

この特集では、黒字企業にも関わらず跡継ぎが見つからないのは、経営者自身が会社の本来の価値を把握できていないことが一因とし、独自の強みを会社自らが意識できることが大事と結論づけていました。

また、同じ特集番組の中で、同様に後継者が不在であったけれど、知的資産経営の取り組みをすることで、会社を客観的に見つめることができ、従業員の中から後継者になる決心をした人がいる会社も紹介されていました。

その後継者の方は、
「今まで見えていなかった自社の強みが見える化できたことで、ここで終わらせてはいけないと思った。会社の強みが明確になったことで、引き継ぐ覚悟ができた」そうです。


このように、一口に知的資産経営といっても、活用方法はかなり幅広いです。ですので、知的資産経営の取り組みに際しては、どのような成果を求めるかを事前に明確にして、その目的に応じた進め方をすることが必要です。

※知的資産経営を成果につなげるためのポイントについては以下の記事を参照ください。

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この記事を書いた人

知的資産とキャッシュフローの両面から、企業のビジョン実現をサポートする中小企業診断士・認定キャッシュフローコーチ® https://www.officeair.net



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