1.「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 」(森岡毅著)。
著者は、低迷していたユニバーサルスタジオ・ジャパンをV字回復に導いた仕掛け人。
USJにヘッドハンティングされてから、いかに現状分析し、戦略立案し、ヒットを飛ばしてきたかが綴られていて、読み物としても十二分に面白い本です。
個人的に「やっぱりそうだよね!」と物凄く共感できたのは、「世界中からアイデアを探す!」のところです。
“フレームワークを使って、何を考えないといけないかが明確になった段階で、すぐに自分自身で新しいアイデアを生み出そうとすることは、私はよくないと思っています。
何でもゼロから始めたがるのは日本人の悪いクセだと思います。自分自身でアイデアを捻りだすのは最後の手段でよいのです。
フレームワークで考えるべきアイデアの必要条件が明確になったら、最初に世の中に目を向けましょう。この世界中のどこかに、過去から現在に至るどこかに、似たような問題に直面した人がいるのではないか?(中略)・・・
メンタルなバリアを取り払って、外に目を開きましょう。自分自身で考えて作っていきたい!と願う気持ちはわからなくはないですが、それは取るに足らない『個人のエゴ』です。会社のためには速くて確率が高い方が良いに決まっているじゃないですか!”
先行事例をきちんと調べること。多くのノウハウが先人の知見に支えられています。謙虚に知ろうとする姿勢が大事ですね。
2.マーケティングを仕事にする人間が重点をおくべきスキルとは
著者は「使えるアイデアを探して応用する」ことを「リアプライ」と呼んでいます。アイデアの再活用です。
しかも、「マーケティングを仕事にする人間は特に、このスキルに重点をおくべき」とのこと。深く同意します。
“人のアイデアを活用したり、それをベースに新たな価値を増築していくために、世界中に広く情報の網を張って外からアイデアの種をたくさん輸入するべく努力をしている人もあまり見たことがない。
多くの人が自分のプロジェクトに関連する自社の都合だけを自分の視界のみで見ている。もっと外に目を向けて積極的にアイデアを盗みに行った方がよい。”
私も“自分で考えた”ということ自体に重要性や意義を感じる人が多く、そういう人に限って、同様の事例・先例・類似例を探す努力をしていないことが多い…と感じていたので、まさにその通りだなあ、感じていたことが経験の裏づけをもって、説得力高く、論旨展開されているなあ、と頷きながら読んだのでした。
3.リアプライの3つの利点
著者の言う「リアプライの3つの利点」とは次の3つです。
1.どこかで成功しているアイデアを土台にした方がスピードが速い。
2.どこかで試されている分だけ成功確率も高い。
3.「リアプライ」を志向することで、アイデアを自分で生み出すために引き出しが増える。(目的意識をもって積極的に外にアイデアの断片を求めることを積み重ねていくと、頭の中により多くのアイデアの断片をストックできる)
USJでの実績をもとに説かれているので、説得力があります。